アンモニア合成向け新触媒、ハーバー法より低温・低圧

New Energy

アンモニア合成向け新触媒、ハーバー法より低温・低圧

Morning lark 2022. 8. 18. 08:20

産業技術総合研究所の西政康氏らの研究グループは、再生可能エネルギー由来の電力で製造した水素を原料とするアンモニア合成向けの触媒を開発した。合成反応の停止・再開を伴う運転条件でも高活性を維持できる。化石資源に代わる燃料として注目されるアンモニアの合成プロセス実用化につながる技術だという。

＜研究の概要＞

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アンモニア合成、触媒、再生可能エネルギー、水素、カーボンナノチューブ、CNT、SGCNT、ルテニウム、セシウム

西政康、陳仕元、高木英行、難波哲哉

産業技術総合研究所、ゼロエミッション国際共同研究センター、福島再生可能エネルギー研究センター

日揮

Journal of Catalysis

A Super-growth Carbon Nanotubes-supported, Cs-promoted Ru Catalyst for 0.1–8 MPaG Ammonia Synthesis

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0021951722003062

https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20220722/pr20220722.html

　開発した触媒は、スーパーグロース法で製造された単層カーボンナノチューブ（SGCNT：Super-Growth Carbon Nanotube）にルテニウム（Ru）とセシウム（Cs）を担持したもの。一般に、再生可能エネルギーは気象条件によって発電量が変動するので、水の電気分解によって製造される水素量も変動する。開発した触媒では、反応の停止・再開を繰り返す運転条件でも安定的に合成でき、既存触媒の約1.5倍の高濃度を実現した。加えて、合成反応に必要なエネルギーを抑えるため、従来法（ハーバー・ボッシュ法）よりも低温・低圧条件下で平衡に近い高濃度アンモニアを合成することに成功した。

　今後は構造・反応機構の詳細な解析を行って改良し、より低温・低圧条件で合成可能な触媒を開発する。SGCNTや触媒金属であるRuが高価なため、将来はより安価な触媒の開発も目指す。