デンマークが世界初「エネルギー島」建設へ。再エネ拠点で近隣諸国と連携強化
パリ協定やSDGsなどに向けた気候変動への具体的な対策の一つとして二酸化炭素排出量の削減が叫ばれる中で、世界各国は自国の気候風土や地理的条件を活用した再生可能エネルギーの開発に力を注いでいる。
日本が掲げる「エネルギー基本計画」では「安全性(Safety)」という前提のもと「エネルギーの安定供給(Energy Security)」「経済効率性の向上(Economic Efficiency)」「環境への適合(Environment)」という「3E+S」を原則とする。日本の再生可能エネルギー比率は現在16.9%であり、その向上は環境への適合と電力の安定供給のキーとなる。
一方、2050年までにカーボン・ニュートラルを目指す北欧の環境先進国・デンマークでは、独自のエネルギー政策により自給率を向上させてきた。また消費電力に占める再生可能エネルギーの比率は50%に達し(2019年時点)、飛躍的に改善した。なかでも風力発電の使用割合は2019年では47%と過去10年間で倍増しており、気候風土を生かしたエネルギーの利用が進んでいる。
さらに2020年5月、デンマークは周辺諸国とのパートナーシップを強固にし、世界規模で二酸化炭素排出量を削減していくことを発表した。デンマーク政府は、2050年までの気候目標を達成すべく、5月20日に最初の気候計画を打ち出した。その鍵となるのは、洋上風力発電の拠点となる2つの「エネルギー島(Energy Islands)」の建設。デンマークのみならずヨーロッパ諸国のエネルギーのグリーン化を推進する強力な原動力となることが期待される。エネルギー島の建設は世界初で、一つは北海、もう一つはバルト海のボーンホルム島に建設される。エネルギー島がもたらす恩恵とは何か。
これまでは洋上に点在するタービンから電力を集約する仕組みが存在しなかったが、これからはエネルギー島が洋上風力発電の拠点(ハブ)として機能し、電力を集約する。エネルギー島の発電能力はそれぞれ2GW(「電気自動車700万台」「デンマークの家庭400万世帯」に電力を供給可能)であるが、周辺のタービンで発電したエネルギーを集約することで、北海に浮かぶエネルギー島の電力供給能力は10GWとなる。現在のデンマークの洋上風力発電の発電量が1.7GWであることから、エネルギー島の建設によりますます自然エネルギーの活用が進むことが分かる。
エネルギー島に期待されているのは電力供給量の増加だけではない。エネルギー島はスウェーデンやノルウェー、イギリス、オランダ、ドイツ、ポーランドといった国々にも接続され、デンマークはエネルギーを供給(輸出)することができる。つまり、このエネルギー島は国という枠を超えた再生可能エネルギーの拠点となり、周辺諸国への効率的でグリーンな電力供給を可能とするのだ。
エネルギー・電力・気候省のダン・ヨルゲンセン(Dan Jørgensen)大臣は「気候危機に対応するために、私たちは再生可能エネルギーの生産を劇的に増やすなどの新しい考え方を求められる。2つのエネルギー島の計画はデンマークだけでなく近隣諸国にとっても洋上風力発電へのアプローチが劇的に変わるきっかけとなる」と述べる。
これまでデンマークは国を挙げて再生可能エネルギーの開発に取り組み、存在感を示してきた。この計画においては自国エネルギーのグリーン化に留まらず近隣諸国とのパートナーシップを強化し、世界規模のインパクトを見通している点が非常に興味深い。海がもたらす恵みを活用した洋上風力発電のポテンシャルは、わたしたちが暮らすアジア・太平洋でも注目されている。気候風土に合わせたエネルギーミックスを検討するだけでなく、パートナーシップによる気候変動へのアクションを模索していきたい。
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