トヨタが「水素で走る大型トラック」製造を本格化、米工場で
水素を動力源とする燃料電池自動車(FCV)の普及を目指してきたトヨタは、ゼロエミッションの大型トラックや大型商用車に搭載する燃料電池(FC)モジュールを、ケンタッキー州の巨大な工場で製造しようとしている。 トヨタ自動車は8月25日、ケンタッキー州ジョージタウン工場にFCモジュールの専用ラインを設置し、2023年に組み立てを開始すると発表した。トヨタによると、そこで製造されるデュアルFCモジュールは160キロワットの電力を発生し、高出力バッテリーや電気モーターなどの推進システムの一部を構成する。 同社は、日野自動車と共同で燃料電池を搭載したセミトレーラーを開発しており、ケンタッキー州で製造したFCモジュールを他のメーカーにも供給する予定だ。 トヨタモーター・ノースアメリカの社長兼CEOの小川哲夫は、声明で「当社は、実証済みの電気テクノロジーを、まったく新しいクラスの市販車に導入していく。大型トラックメーカーは、完全に統合された検証済みのFC駆動システムを購入可能になり、顧客にエミッションフリーの選択肢を提供できる」と述べた。 トヨタのMIRAIやホンダのClarityなどのセダンタイプのFCVは、まだ一般レベルには普及しておらず、カリフォルニア州以外での入手は難しいが、大型トラックやバスへの搭載に向けた準備が急速に進んでいる。 トヨタと日野に加え、現代自動車、ボルボ、ダイムラー、カミンズ、そしてニコラなどの新興企業が、今後数年以内に燃料電池大型トラックの販売を計画している。これらの企業は、重量が軽く燃料補給のスピードが速い燃料電池のパワートレインが、1日に何百マイルも走る大型トラックに適した技術だと述べている。 トヨタは長年、ロサンゼルス港で燃料電池トラックを走らせてきたが、ジョージタウン工場をFCモジュールの製造に対応させるためのコストを開示していない。ジョージタウン工場は、トヨタのトップセラーであるセダン「カムリ」の主要な生産拠点だ。GMも、ミシガン州の工場でFCシステムを生産する準備を進めている。 燃料電池車もバッテリー車も、モーターで駆動するEVという点では同じだが、燃料電池車は水素を用いて必要に応じて電力を作り出すという点で、バッテリー車とは大きく異なっている。
水素は天然ガスを原料としているため、完全なカーボンフリーではないことが指摘されている。しかし、余剰の再生可能エネルギーや水などを原料とする「グリーン水素」に移行すれば、完全にカーボンフリーの燃料が実現可能であり、埋め立てに用いられた廃棄物から発生するガスを原料とする水素も、環境に優しいオプションとして注目されている。 トヨタケンタッキーのパワートレイン部門責任者であるデビッド・ロシアーは、「トヨタの商用車用燃料電池システムは、8万ポンドの満載重量で300マイル以上の航続距離を実現し、優れた走行性や静粛性、有害排出ガスのゼロ化を達成した」と述べている。 ニューヨーク証券取引所に上場するトヨタ株(TM)は、8月25日に1.6%上昇して173.75ドルをつけており、年初から12%の上昇となった。
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