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2039年までにCO2ニュートラルは実現できるか

消費財と称される乗用車に対して、商用車はわれわれの生活を支える生産財。プロフェッショナルの道具として機能する商用車の守備範囲は幅広い。物流業から建設業など一連の業種を担いつつ、バスともなれば公共交通機関や観光業にまで多岐にわたる。

「eCanter F-Cell」のプロトタイプ(前)と量産型の「eCanter」(後)(筆者撮影)

 

2019年、全世界で48万8500台の商用車を販売したダイムラートラックAGは、乗用車で培った電動化技術を礎に、商用車の電動化についてもヨーロッパや北米、そして日本を中心に推し進める。

これまでメルセデス・ベンツのトラックとバス部門は、ドイツを代表する企業の1つであった旧ダイムラーAGの一角であったが、2019年11月1日に大がかりな組織改編により、新たにダイムラートラックAGとして組織化された。

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この組織改編は歴史的規模で行われ、一極集中のダイムラーAG体制から大きく3つに分社法人化。乗用車を中心とした「メルセデス・ベンツAG」、商用車を中心とする「ダイムラートラックAG」、MaaSをはじめ新しい乗り物形態を担当する「ダイムラーモビリティAG」をそれぞれ名乗る。

現在、3つの企業体の総従業員は約29万4000人で、そのうちダイムラートラックAGは約10万人(約34%)を占める。

三菱ふそうトラック・バス株式会社は、現在、ダイムラートラックAGの一員として神奈川県川崎市に本社を構える。前身が1920年に3トン、4トン積み軍用トラックを三菱造船(神戸造船所)で製造したことを皮切りに、1932年に「B46型バス」、1941年に「YB40型2トントラック」を日本市場に送り出す。そして2003年に、三菱ふそうとして三菱自動車から分社化され今に至る。

2010年から電動化に取り組んできた「三菱ふそう」

三菱ふそうでは、2010年9月にBEV(電気自動車)である小型トラック「キャンター E-CELL」を世界的な商用車ショーである「IAA2010」、翌2011年の「東京モーターショー」にそれぞれ出展。2013年6月にはパワートレーンを強化した第2世代のキャンターE-CELL用いてNEXCO中日本との実証実験を開始する。同時にポルトガルやドイツでも実証実験を重ねた。

その後、キャンターE-CELL改め「eCanter」として2016年の「IAA2016」に出展、2017年7月からは川崎工場(神奈川県川崎市)において電動小型トラックeCanter(車両総重量/GVW7.5トンクラス)の量産を行っている。

 

現在、三菱ふそうではBEVである電動小型トラックeCanterとともに、燃料電池をパワートレーンとした電動小型トラックの開発も進めている。

2019年の「東京モーターショー」で「Vision F-Cell」として初公開された燃料電池小型トラックは、2020年3月26日に開催された燃料電池車両に関するオンライン説明会の場で、名称を「eCanter F-Cell」に改めたことが発表された。

同説明会の冒頭で、三菱ふそうの代表取締役社長でありダイムラー・トラック・アジア代表のハートムット・シック氏は、「2022年までにBEV商用車の量産体制を実現し、2020年代後半までに燃料電池トラックを量産する」と発言。

2020年代後半に燃料電池トラックの量産を開始することが明言された(写真:三菱ふそう)

そこで筆者は、「2020年代後半とする量産体制とは、SOP(Start of Production/製造開始)のタイミングなのか、それとも販売を行うタイミングなのか」と質問する。

それに対して「SOPです。このビジョン実現には、電気自動車や燃料電池自動車の充電・充填設備の整備、水素インフラの整備および車両購入時の補助金といった政府からの支援などの必要なインフラやサポート態勢が整ったうえで、初めて実現すると考えています」と回答した。

たしかに車両を製造することと、販売を行い事業として軌道に乗せることは、別の側面で異なる課題がある。それが燃料電池車であればなおのこと。

2015年にトヨタの燃料電池車「MIRAI」の製造工場を取材したが、最先端のクルマとはいえ手作業が多く工作機械においてもより高い精度が求められることから、1日の生産台数に限りがある(当時は3台/日)と説明を受けた。

普及のカギとなる水素ステーション

一方、販売面においては乗用車と同じく、燃料となる水素を充填する水素ステーションの普及がひとつの要だ。

「日本における水素充填スタンド数は現状、112カ所を数えるが、2020年代の後半時点でどの程度までその数が増えていると、三菱ふそうが目指したCO2ニュートラルプランとの採算点と符号するのか」と筆者が質問する。

すると三菱ふそうは、「経済産業省は今後、水素ステーションを大幅に増やしていく構想を持っています。この構想が実現するのであれば、商用車に関しては問題ないと考えます。また、経済産業省は同時に2030年までに水素燃料の価格を段階的に下げる計画も打ち出しており、これに伴い燃料電池車は将来的に市場において競争力を持つだろうと考えます」と回答した。

さらに続けて、「eCanter F-Cellは、三菱ふそうにとって初めてのプロトタイプですが、この具現化により、三菱ふそう社内でトラックに燃料電池を組み込む礎ができました。またダイムラーグループは、燃料電池技術において長年の経験と知見を持っており、三菱ふそうには、これらを活用できるメリットがあります。初期の段階ではコストが大きなチャレンジとなりますので、一定台数を生産し、コストを下げるまでは、政府からの助成金が必要と考えます」と話す。

このように三菱ふそうには、「政府の支援なくして燃料電池小型トラックの普及は難しい」という考えがあることがわかった。

しかしながら、押し寄せる電動化の波は乗用車の世界だけにとどまらない。この先は、商用車にも等しく訪れる。電動化の三種の神器とされる「モーター」「バッテリー」「インバーター」はいずれも量産効果を持ち、それにより技術的な昇華が見込めるからだ。加えて、量産効果は燃料電池の源であるFCスタックにしても同じである。

2039年までにCO2ニュートラルを目指す

一方、三菱ふそう(ダイムラートラックAG)のICE/内燃機関を搭載した既存の販売車両に対する電動化についてどう考えているか、ダイムラートラックAGに訊いた。

「ダイムラーでは現在、ICEを用いたハイブリッド技術は2039年までの移行期間のオプションとして見ています。可能性に関する最終評価はまだ保留中です。ハイブリッド技術はCO2ニュートラルではないため、われわれのターゲットには含まれていません」

なるほど、現時点でICE車両をハイブリッド化して2040年以降も延命する考えはないと言う。そのうえで、ダイムラーAGが掲げるCO2ニュートラルについて質問すると、次のような答えが返ってきた。

「2019年に、ダイムラーとして2050年までにCO2ニュートラル輸送を実現することが、私たちの最終目標であることを発表しました。ここで掲げた、2050年までにすべての車種をリニューアルするプランの実行には約10年かかる見込みです。まずは2039年までに、主要地域である欧州、日本、北米において『Tank To Wheel (TTW)』の走行時CO2ニュートラル車両のみを提供する、これが目標です」

さらに2020年4月に発表したボルボとの合弁事業については、「2022年までに、主要な販売地域である欧州、米国および日本での車両ポートフォリオに、電気自動車の量産車を含める予定です。計画されている燃料電池の合弁事業に関するボルボグループとの共通の目標は、2020年代後半までに航続距離がより長い燃料電池車の大型車両を提供することです」とした。

BEVトラックの量産体制をあと2年で構築する(写真:三菱ふそう)

別角度からの質問として、CO2ニュートラル車両が前提となるCO2ニュートラル輸送について伺い、以下のような回答を得た。

「それはCO2に依存しない駆動、つまり電池と水素のみで成立します。ダイムラーではトラックとバスの両車で、電池と水素のテクノロジーを共存させ、相互に補完し合うことができると確信しています。燃料電池は、重負荷および要求の高い長距離向けの環境に配慮した技術であるため、これらの2つのテクノロジーを使用することで、あらかじめルートが決まっている都市内の配送から、事前のルート計画が難しい数日以上にわたる大型貨物の輸送まで、お客様の多様な輸送ニーズのすべてをカバーできます」

また、「最終的に車両のTCO(Total Cost of Ownership/総所有コスト)は、どの技術が、どの目的に適しているかによって決定されます。ダイムラーは今後数年間で、バッテリー電気駆動(BEV)と、水素ベース駆動(F-Cell)の両方に多額の投資を行い、それらを使用して幅広い車両を構築します」とも話す。

2020年代後半の「eCanter F-Cell」に期待

三菱ふそう(ダイムラートラックAG)は、電動小型トラックを含めた商用車全般に対し、BEVとF-Cellの両面から普及を目指す。今回の小型トラックではBEVであるeCanterのパワートレーンをベースにしながら、そこからバッテリー搭載量を減らし、代わりにFCスタックといった動力源によって求められる駆動力を確保する。

2020年6月現在、eCanterは全世界で150台以上を販売、うち40%近くを日本国内で販売した実績がある。続くeCanter F-Cellでは、経済産業省が進める水素インフラ拡充プランとともに2020年代後半の量産化を目標に、販売に向けた車両開発を進めている。

 

 

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EVとディーゼル車のトータルコスト  この先、商用車の世界にも電動化の波が本格的に訪れる。走行時にCO2を排出しない働くクルマが世界中から渇望されているからだ。商用車は生産財なので、普及ともなれば導入コストである車両価格にはじまりメンテナンス費用、さらには電費数値を元にした電力費用などランニングコストが注目される。

また、電動化により当然ながら車両価格も上昇する。しかしながら電動化の要であり、開発コストや走行性能を左右するバッテリー、モーター、インバーター(パワーコントロールユニット)は部品メーカーの企業努力もあり、普及が進み量産効果の出ている乗用車と基本部分の共有が可能に。こうしたことから、商用車全般に求められるシビアなトータルコストオーナーシップに応じられるようになった。  2010年9月。BEV(電気自動車)の小型トラック・プロトタイプ「キャンターE-CELL」を世界最大級の商用車ショーである「IAA2010」(ドイツ・ハノーバー)に出展した三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)は、2017年7月からBEVである小型電動トラック「eCanter」の量産を川崎工場(神奈川県新川崎市)で開始。同10月からリース販売をスタートさせた。  2020年6月現在、eCanterは日本、欧州、米国を中心に約150台(日本は56台)が物流事業者の手に渡り、それらがこれまでに走行した総距離はざっと160万kmに及ぶという。  では、冒頭のトータルコストオーナーシップで重要なラニングコストを考えてみる。ディーゼルエンジン(内燃機関/ICE)に対するeCanterの優位点はどこに、どれほどあるのだろうか? ここでは、ディーゼル車の燃費数値(カタログの重量車モード値8.7km/Lで軽油110.5円/L換算。軽油価格は資源エネルギー庁が2020年8月5日に公表した値)と、eCanterにおける電費数値(同1.92km/kWhで電力価格17.54円/kWh。電力価格は東京電力エナジーパートナーが2019年10月1日以降に適応するものとして発表した、契約電力500kW以上の業務用電力で夏期料金)から両車のコストを比較した。結果、あくまでもカタログ値を元にした計算式だが、ディーゼル車が12.2円/kmに対して、eCanterは9.1円/kmと、じつに25.6%もeCanterのランニングコストが低いことが分かる。  一方、導入コストはどうか? eCanterは現状4年間リース販売のみで、そこには車両のフルメンテナンス費用など一連の価格が含まれている。よって、単純に車両価格の算出はむずかしいが、事業者が一時的に支払う導入コストは、ディーゼル車のリース価格よりも高価であることは間違いない。  しかしeCanterの場合、国土交通省・経済産業省連携事業として進められている「電動化対応トラック・バス導入加速事業」(2020年度の予算案は10億円)からの補助金が、JATA(日本自動車輸送技術協会)を経由して、eCanterを導入する事業者に交付(標準的燃費水準車両との差額の2分の1[HV・PHV]または3分の2[EV]電気自動車用充電設備の導入費用の2分の1)される。ざっくりといえば、ディーゼル車のCanterが500万円程度(タイプにより価格は大きく上がる)と仮定して、eCanterを800万円(イメージ)として計算すれば、差額の3分の2にあたる約200万円が交付される。さらに充電設備の導入費用も半額が補助されるから、eCanterとCanter実質的な価格差はグッと縮まる。  さらにeCanterでは、後述する動力性能での優勢点が数多く、これは実際に使われている事業者からも高い評価を受けている。たとえば、eCanterを導入するコンビニエンスストア大手のセブン-イレブン・ジャパンでは、搭載する電気式冷蔵機の電源をeCanterから受けることで、早朝深夜での配送業務の大幅な騒音抑制につながると評価する。  つまりeCanterは、導入コストこそディーゼル車より高価ながら、ランニングコストは25%以上も低く、働く現場でも高い評価を受けていることが分かった。  ところで、小型トラックとは何を示すのか? 区分けの1つ、道路交通法上の運転免許証別で見る小型トラックには、普通免許で運転できる「最大積載重量2t未満でGVW3.5t未満」と、準中型運転免許で運転できる「最大積載重量4.5t未満でGVW7.5t未満」がある。今回のeCanterはGVW7.5t未満(販売中のeCanterはキャブシャシ状態で7400kg)で、なおかつ道路運送車両法での寸法にも収まることから、準中型自動車免許があれば公道での運転が可能だ。  ちなみに、この準中型免許は2017年3月12日に施行された改正道路交通法によって新設された区分け。普通免許と同じく18歳以上であれば最初から取得することができる。  一方、中型免許(最大積載量6.5t未満でGVW11t未満)は20歳上であり、普通免許、準中型免許または大型特殊免許を現に取得して、これらの免許のいずれかを受けていた期間(運転経歴)が通算して2年以上あることが条件になるなど、取得までのハードルが準中型免許よりも高い。  つまり準中型免許の新設は、小口物流(100kg以下の輸送)が急増し、深刻なドライバー不足が懸念されているわが国の物流業界に対する実質的な救済策ともいえる。  小型トラックの販売台数はどうか。2019年4月~2020年3月までに販売された軽トラック、小型トラック、普通トラックの全台数(約85万2000台)のうち、小型トラックは約25万7000台(30.2%)を占めている(数値は日本自動車工業会)。このことから、小型トラックは日本の経済を支える大動脈であることが分かる。

 

■商用車に特化した「ゼロ次安全」を垣間見た  今回、その小型トラックでBEVのeCanterに短時間ながらテストコースで試乗することができた。GVW7.5t、最大積載量4125kgのボディに82.8kWh(13.8kWh×6個)のリチウムイオンバッテリーを搭載し、135kW(180PS)/390Nmの駆動モーターにより後輪を駆動する。  1回の充電あたり走行可能距離はフル積載、つまりGVW7.5tの状態で100km(JE05モード値)。充電時間は単相交流6kW(200V/30A)の普通充電で0%→100%が11時間(理論値)、50kWh出力の急速充電(CHAdeMO準拠)では同1.5時間でそれぞれ完了する。  乗用車と同じ形状のキーレスエントリーキーをステアリングコラム右側に差し込み、その左にあるプッシュスターターを押すとEVシステムが起動する。そのままセレクターレバーをDレンジに入れ、駐車ブレーキを解除してゆるやかに発進する。試乗時は荷物を積載していない空荷の状態なので、GVWは3.2t程度だ。  都市部の渋滞路や30km/h制限の細街路を見越して25km/hあたりを保ちながら走らせてみる。モーター駆動のBEVらしく、アクセル操作に対してとても従順な反応なので発進⇔停止がとても楽。アクセルペダルを放すと回生ブレーキが作動するが、ディーゼル車である6速デュアルクラッチトランスミッション「DUONIC2.0」を搭載するCanter(eCanterのベースモデル)とほぼ同等の減速度を示す。ブレーキシステムはディーゼル車と同じ油圧式。回生効率を高めるために、BEVの多くが用いる電子制御ブレーキ「ECB」は今のところ採用していない。  ディーゼル車では、発進時にどうしても発生してしまうクラッチ締結時のショックを見越した繊細なアクセル操作が求められるが、eCanterの発進はショックとは無縁の世界。だから普段ディーゼル車に乗っているドライバーでも、これまでと同じ操作で積荷にやさしい運転が行なえる。  真冬の早朝一発目の運転など身体が硬直している時や、長時間の勤務で身体的疲労度が高まってときなどでも、eCanterの人にも優しい発進性能は地味に、しかしながら発進操作を行なうたびにその真価を発揮する。ここに、先進安全技術に頼る前に求められる商用車に特化した「ゼロ次安全」を垣間見た。  国道に出たことを想定し、今度はアクセル開度を徐々に大きくして加速フィールを確認する。空荷での試乗だが、それを差し引いても力強さは格別で、体感上での最大加速度はディーゼル車の1.5倍程度。しかも、ディーゼル車のような変速操作がないことから、開度に応じた躍度が途切れることなく長い時間保たれる。  同乗して頂いた三菱ふそうの技術者によれば、最高速度は80km/hだというが、試乗コースで試すことができた少なくとも60km/hあたりまでは、安定した躍度で速度をのせていくことが分かった。  しかしトラック全般に求められる、積荷に優しい運転のしやすさで考えると、eCanterとディーゼル車(DUONIC2.0)では、ときに立場が逆転する場面があるようだ。  筆者は過去にドライバーとして商用車の開発業務を担ってきたが、そこでは道路環境に影響されないストレスのない動力性能の実現と、加減速でむやみに積荷が前後に動かない、つまり荷崩れしない運転操作のサポートが設計思想として求められていた。  eCanterは、アクセル開度にして約30%以上の領域において駆動モーターから得られる躍度が高めで安定する傾向にあることから、今回が空荷であることを差し引いても使用シーンから想定すると過剰な加速フィールを試乗から受けた。加えて、滑りやすい路面では走行モードの切り替えスイッチ(低μ路対応)があるといいのではないか、そんなシーンも想像できた。この点を三菱ふそうの技術者に伺ってみた。 「欧州のお客さまからは概して好評で“非常によい”という評価をいただいています。一方、日本のお客さまは両者に分かれ、“加速がよくてストレスがない”とおっしゃるお客さまと、“積み荷が移動するので気を使う”というお客さまがいらっしゃいます。今後、モードスイッチの追加も検討したいと考えています」とのことだった。  減速度はどうか? GVWのかさむ商用車では、求められる減速度はその強さだけでなくコントロールのしやすさにも重きが置かれる。そして、車体が大きく重くなるほど、速度の調整は一般的なブレーキペダル(トラックやバスではサービスブレーキと呼ぶ)よりも前に、レバー操作で作動する補助ブレーキ(排気ブレーキやジェイクブレーキやリターダなど)によって行なわれる。  eCanterはICE(内燃機関)を搭載していないBEVなので、アクセルペダルを放すと走行速度に応じて回生ブレーキが作動する。その際の減速度は前述した通り3.0リッターのディーゼル車、すなわちCanterのディーゼル車と同等レベル。さらに強い減速度が必要な場合は、ステアリングコラムの左レバー操作によって強い回生ブレーキを使う。その際の減速度は、三菱ふそうの技術者によれば5.0リッターディーゼル車並とのこと。  eCanterの場合、回生ブレーキによる最大減速度は1.3m/s2以下。よって、国土交通省が「電気式回生制動装置動作時の制動灯点灯」で定める「任意点灯」領域、すなわち減速度0.7m/s2を超え、1.3m/s2以下の減速度に区分されるため、三菱ふそうとしてはブレーキランプを点灯させていない。  電動トラックといえば、北欧の商用車メーカーであるボルボも中・大型トラック「Volvo FL Electric」として欧州で販売を行なっているが、こちらはBEVでありながら2段式トランスミッションを採用する。将来的にeCanterが有段トランスミッションを搭載する必要性はあるのだろうか? 「eCanterの場合、固定減速機で静止から80km/hまでの実用域をカバーしています。BEVは都市内などのラストマイル輸送に使用されることを想定しているので、これ以上の最高速ニーズが少ないと考えていることから2段ギヤの採用は考慮していません」とのことだ。  ポルシェのBEVスポーツカー「タイカン」が2段ギヤを搭載するのは、優れた加速力と高い最高速度の両立だが、BEVトラックにおける有段ギヤはGVWや求められる性能に応じた手段。よって、小型トラックには必要ないとの判断が成り立つ。

 

■eCanter F-Cellにも試乗  eCanterの試乗コースでは、こちらも短時間ながら燃料電池トラック「eCanter F-Cell」にも試乗することができた。こちらはプロトタイプだが、すでに2020年代後半への量産を視野に開発が進められている。  eCanter F-Cellの開発目標スペックは、燃料電池スタックの出力として75kW(102PS)で、これに110kW(150PS)のバッテリー出力を加えるという。  1本あたり水素10kg(70MPa)を充填する水素タンクを4本(左右に2本ずつ)ホイールベース内に搭載し、水素をフルに充填した状態では1充填あたり300kmの航続距離を目指す。GVWはeCanterと同じ7.5tクラス。試乗したプロトタイプは水素タンク3本、eCanterに搭載している同型バッテリーパック1個(13.8kWh)をそれぞれ搭載していた。  走行フィールはeCanterと同じ。しかしモーター(駆動モーターはeCanterと同型)へ流れる電流が現時点では低いことから、アクセルペダルを全開にしたとしても加速力はeCanterの3分の1程度だ。  この先、三菱ふそうでは電動小型トラックを含めた商用車全般に対してeCanterとeCanterで構築した電動プラットフォームの共有化で普及を目指す。BEVであるeCanterのパワートレーンをベースにしながら、そこからバッテリー搭載量を減らし、代わりにFCスタックといった動力源によって求められる駆動力を確保することで、BEVの課題である航続距離の延長を行なっていく。  2020年3月23日、トヨタ自動車と日野自動車は燃料電池大型トラックを共同開発すると発表した。共同開発する大型トラックには、トヨタの燃料電池乗用車「MIRAI」に搭載されるトヨタFCスタックを2基搭載し、水素1充填あたりの航続距離600kmを目指す。このMIRAIのFCスタック2丁掛けは、すでに東京都交通局が導入する大型路線バス「トヨタFCバス」でも実証済み。このように、商用車の電動化はBEVと燃料電池の両面で進められていく。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/7dc549302b731ebde59097404857483b053a6cf0/images/000

 

 

三菱ふそうのEVトラック「eCanter」試乗 商用車に求められる“運転のしやすさ”とは (Impress Watch)

写真:Impress Watch - Yahoo!ニュース(Impress Watch)

news.yahoo.co.jp

 

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VW『iD.3』、アウディ『Q4 e-tron』、ポルシェ『タイカン』、日産『アリア』… 2020年は国内外でBEVの発表が相次いでいる。車両電動化のフェーズがさらに進んだともいえる。ただ、電動化や環境性能で忘れてならない技術に燃料電池がある。

国内ではトヨタとホンダが燃料電池車両(FCV)の市販を開始している。トヨタは第2世代の『MIRAI』を2020年に発表予定で、FCVシステムの刷新、TNGAの採用、航続距離で30%向上などが公表されている。また経済産業省やNEDOの水素社会へのコミットメントも顕在だ。

 

その一方で、インフラ整備コストやLCA(ライフサイクル環境評価)の面で、次世代電動化車両はBEV(EV)を有力視する声も少なくない。実際のところFCVの車両開発や海外の動向はどうなっているのだろうか。

トヨタ自動車 ZEVファクトリー 主幹の手嶋剛氏が7月29日開催のオンラインセミナー「トヨタにおける燃料電池自動車への取組み」で、燃料電池に関する同社の取組み、活用事例、海外動向や競合他社の状況について講演する。セミナーに先立ち、手嶋氏にインタビューをお願いした。

グローバルで先行する技術開発

---:セミナーでは、海外を含むFCVの最新動向などをお話いただけると聞いておりますが、トヨタとしての取組み状況についてまずは教えていただけますか。

手嶋氏:燃料電池および燃料電池自動車、FCVは、トヨタの環境チャレンジのひとつとして取組んでいます。2015年に発表した「環境チャレンジ2050」では、2050年までに、2010年比でCO2排出量を90%下げる目標を掲げています。2030年のマイルストーンとして新車の50%を電動車両することも発表のとおりです。

目標達成にはHV、PHV、FCV、EVの存在が不可欠ですが、トヨタの電動化は1997年の初代プリウスからスタートしています。そのHV技術をベースにPHV、FCV、EVへの展開ができることがトヨタの強みになっています。

このうち水素と酸素から電気を作り出す燃料電池技術は、発電過程でCO2を全く出さないという特徴、原料の水素は水の電気分解、ガス、石油、バイオマスなどさまざまな素材から作れること、バッテリーと比較してエネルギー密度が高いこと、長期保管が可能なこと、といった特徴があります。トヨタの燃料電池開発は、1992年にスタートしています。2014年には初の市販燃料電池車両となるMIRAIを発表するなど、その技術もグローバルで先行しています。

競争領域より協調領域

---:トヨタの燃料電池技術にはどんな特徴があるのですか

手嶋氏:トヨタの燃料電池(FC)スタック、FCVの各コンポーネントには、随所に社内開発の独自技術が詰め込まれています。FCスタックは、固体高分子型、体積出力密度は3.1kW/Lと世界トップレベルです。加湿器を使わない内部循環方式の加湿は世界初の技術です。

昇圧コンバーターは最大650Vという高電圧に対応します。電動化技術では、電圧が高いほどハーネスを細くできるので軽量化に貢献します。出力は4相交流になっており、モーターの細かい制御に効果を発揮します。

高圧の水素タンクの貯蔵性能は、一般的5~5.5wt%という質量パーセント濃度(タンク総重量に対する水素が占める質量)のところ、MIRAIの水素タンクは5.7wt%と業界トップレベルの性能を誇ります。タンク自体は炭素繊維で強化されたプラスティック製ですが、炭素繊維の巻き方に工夫を施し、タンクの肉厚を薄くすることを可能にしています。

FCVについては、競争領域より協調領域であると捉えているので、トヨタは2万件以上の燃料電池や電動化に関する特許を2030年まで実施権を無償公開しています。

災害時や商用車で高まるニーズ

---:次にFCVの活用事例や各国の状況についてお伺いしたいと思います。トヨタとしての最近の取組みにはどんなものがありますか。

手嶋氏:フランスのFCVタクシー会社、HYPEに対してMIRAIを600台提供する計画、2019年ローマ教皇が来日したときのMIRAIの特別車両、同年末のU2の水素コンサートといった動きに加え、2018年の北海道地震や2019年台風15号による千葉の大停電での電力供給にMIRAIやFCバス「SORA」の活用があります。

もうひとつは、商用車への燃料電池ニーズの高まりを受けた動きです。日野自動車との共同開発のSORA以外に、FC技術を福田汽車、中国一汽といった中国企業への提供、ポルトガルのバス会社との協業が進んでいます。米国ではロサンゼルス市の港湾局と大型トラックのプロジェクトも進んでいます。大型トラックでは、日野自動車と25トンクラスのFCVトラックの共同開発も行っています。

それ以外にも、フォークリフトへの応用、トーイングカー(空港で航空機を牽引する車両)のFCVコンセプトの発表、コンビニチェーンの配送トラックでもFCVが走っています。この配送トラックは冷蔵車として架装されています。

海外では、船舶、鉄道、ドローンといった分野に燃料電池を搭載する動きがあります。電動の有人ドローンやeVTOLでは、バッテリー利用も進められていますが、航続距離を伸ばしたい場合、燃料電池のほうが有利です。バッテリーで航続距離を伸ばそうとすると、どうしても重いバッテリーを増やす必要がありますが、航空機ではFCのエネルギー密度の高さが有利に働きます。

アフターコロナ政策で水素関連の投資増大

---:海外ではFCVについてどんな動きがありますか。

手嶋氏:欧米、中国でFCVへの動きが目立ってきています。詳細についてはセミナーでお話する予定ですが、欧州ではアフターコロナを見据えた政策で、水素関連の投資増大が目立っています。ドイツ政府は1兆円規模の投資を表明しています。欧州では、大型トラックや長距離輸送ではCNGにもコミットしていましたが、FCVへのシフトが進んでいると見ています。

アメリカでも、カリフォルニア州は2023年に商用車にもZEV規制を適用する予定ですので、トラック、バスも電動化を進めないと規制をクリアすることができません。中国でも同様な動きがみられ、FCバスの市販化が始まっています。インドも2006年に水素ロードマップを発表しており、TataがFC大型トラックの開発・普及を進めようとしています。

OEMの動きとしてはヒュンダイが活発です。クラス8の大型トラックの開発に加え、財閥という企業体を生かし、非常用電源や鉄道など自動車以外にも燃料電池を導入しようとしています。

商用車はEVとFCVの両方で

---:各国ではトラック、バスを中心に商用車はFCVにするという動きがあるようです。ただ、ダイムラーやボルボトラックスなどは、大型トラックでもEV化を進めていると思います。商用車はEVとFCVとどちらになるのでしょうか。

手嶋氏:排気量の大きい大型トラックは、CO2の排出量でいうと車両全体の排出量の70%を占めるといわれています。各国の環境規制の達成には、実は大型トラック・バスの電動化が不可欠です。

確かにダイムラー、ボルボトラックスは独自にEVトラックをアナウンスしています。FCVも共同で開発を行っています。今後の動向予測は難しいですが、距離や用途による棲み分けが進む可能性はあります。

都市部や中距離まではEVで対応できるかもしれませんが、大陸横断など長距離となるとFCVのメリットが生きてきます。各社ともにEV、FCVと固定するのではなく、両方を用途に応じて展開できる戦略を考えているのではないでしょうか。

2040年グリーン水素でLCAの課題解決

---:FCVの課題として、LCAの問題があると思います。水素を作るためのエネルギー消費を考えると、ライフサイクルでのCO2排出量はEVよりも増えるという試算もあります。この点はどのように克服していくのでしょうか。

手嶋氏:まず、いま述べたように長距離輸送の大型トラックでは、FCVのほうがEVより優位性を発揮できる領域が多いと思います。現状、水素生成に天然ガスが多く使われているため、LCAは課題のひとつとなっていますが、風力や太陽光による自然エネルギー由来のグリーン電力を使うことで、「グリーン水素」を増やせば問題をクリアできると思っています。

日本でも2040年にはグリーン発電によるグリーン水素をスタートさせる予定です。EUでは、40GWhのグリーン発電を進める計画があります。この出力は原発40基に相当する電力です。

水素社会に乗用車のFCVは必須

---:最後に、お聞かせください。FCVは、商用車、大型トラック、バスとの親和性が高いように思います。その中でトヨタが乗用車であるMIRAIを作る意味。戦略的な位置づけはどう解釈すればいいのでしょうか。

手嶋氏:水素社会の実現、FCVの普及を考えたとき、台数比で100倍くらい多い乗用車のFCVは必要だと考えています。水素ステーションの普及、インフラ整備でも、燃料電池乗用車の存在は無視できないはずです。そして、トヨタは乗用車のメーカーでもあります。これを無視してFCVの普及はないと思っています。

 

https://https://response.jp/article/2020/07/27/336907.html

 

見えてきた世界の燃料電池戦略、BEVとFCVの課題と展望…トヨタ自動車 ZEVファクトリー 主幹 手��

VW『iD.3』、アウディ『Q4 e-tron』、ポルシェ『タイカン』、日産『アリア』… 2020年は国内外でBEVの発表が相次いでいる。車両電動化のフェーズがさらに進んだともいえる。ただ、電動化や環��

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Posted by Morning lark
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