トヨタ向け全固体電池材料は千葉で、出光が「実用化へ大きな一歩」
「全固体電池の実用化に向けた大きな一歩だ。研究から装置産業への移行のタイミングに立っている」。こう力を込めたのは、出光興産専務執行役員兼先進マテリアルカンパニープレジデントの中本肇氏である。
出光は2025年2月27日、全固体電池の固体電解質に使う材料の大型製造装置を建設すると発表した。硫化物系固体電解質の中間原料である硫化リチウムを製造する装置を、同社の千葉事業所(千葉県市原市)に構える。総事業費は約213億円で、うち約71億円は経済産業省の補助金で賄う。完工は2027年6月を予定する。
生産した材料は、トヨタ自動車が2027~2028年に実用化する新型電気自動車(EV)に使う。両社は2023年に全固体電池の量産に向けてタッグを組んだことを発表した。出光はトヨタのEV発売に間に合うように、硫化リチウムの生産を開始する(図1)。出光は硫化リチウムから固体電解質を造る大型パイロット装置も建設する計画である。2025年度内に最終の投資判断をするが、既に千葉事業所内に建設予定地を確保している。

全固体電池の「世界標準を目指す」
「実用化に向けた最大の難所が、今まさに取り組んでいるところだ」。出光執行役員先進マテリアルカンパニーリチウム電池材料部長の三品鉄路氏は気を引き締める。「1μmにも満たない粒径の粉体が製造装置の中でどう動くか。大型装置では中心部と端で粒子の動きや(それに起因する)化学反応が異なる」(同氏)。均一な品質の材料や電池を大量生産するのは、ごく少量の電池セルを造る研究段階に比べると難易度が一気に上がる。
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トヨタ向け全固体電池材料は千葉で、出光が「実用化へ大きな一歩」
「全固体電池の実用化に向けた大きな一歩だ。研究から装置産業への移行のタイミングに立っている」。こう力を込めたのは、出光興産専務執行役員兼先進マテリアルカンパニープレジデ
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