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「液体で燃料を充填し、高効率に電気を生成できる固体酸化物型燃料電池(SOFC)を実用化できれば、移動体である自動車にとって有用なエネルギー源の1つになる」(日産自動車EVシステム研究所主管研究員の加藤崇氏)

 日産自動車が、車への将来の搭載に向けて、SOFCの開発に力を入れている。SOFCは、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI」や韓国・現代自動車の同「NEXO」が採用している固体高分子型燃料電池(PEFC)とは異なる技術に基づく電源である。

 SOFCは電解質にジルコニア系セラミックスを用いる。固体高分子膜を用いるPEFCの作動温度が70~90℃なのに対し、SOFCのそれは600~1000℃と高い。このため燃料の内部改質が可能で、エタノールなどの液体を燃料として使える可能性がある。理論上の発電効率もPEFCの30~40%に対して、40~65%と高い。

 現状のFCVは水素ガスを燃料としているため、70MPa(メガパスカル)などの高圧タンクを搭載する必要があり、安全対策のためのコストがかさむうえ、車室内空間もある程度犠牲にせざるを得ない。また、普及に向けては水素充填ステーションという高コストのインフラ整備が大きな課題になっている。

 一方、SOFCは既存のFCVが抱える課題を解決できる可能性があるため、日産の期待は大きい。もっとも、現状のSOFCは一部が定置用電源として実用化されているものの、車載に応用するにはクリアすべき課題が数多く残されている。

 加藤氏はSOFCの課題について、「作動温度が高いため起動に時間がかかる一方、車載用途では起動に長い時間をかけられないので、急速に加熱しても壊れない耐久性が求められる。また車に使うには、サイズや重量、そして重量当たりのエネルギー密度などに大幅な改善が必要だ」と話す。

 そこで日産は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」において、プロドローン(名古屋市)、アツミテック(浜松市)、インテグレーションテクノロジー(埼玉県和光市)などとともに、ドローン向けSOFCスタックの開発を進めている。長時間・高ペイロード(荷物)飛行を実現するSOFCドローンの実用化や多用途展開に向けた基盤技術の構築が目標だ。

 「既に海外ではPEFCを搭載したドローンが実用化されているが、PEFCは大型化への対応が難しい。SOFCはPEFCより25%程度効率が高く、セラミックスベースなので軽量化のポテンシャルも高い。セラミックスは日本のお家芸なのでメード・イン・ジャパンでできるのもいい」(プロドローン常務取締役の市原和雄氏)

 ではなぜ、日産がドローン向けの開発を手掛けるのか。「実際に当社がドローンやeVTOL(電動垂直離着陸)機を開発することを想定しているわけではないが、モビリティー向けのエネルギー源の1つとして興味を持っている。ドローンでは重量当たりの出力が非常に重要で、そこが車と似ている。定置用電源のようにパイプラインで水素ガスを供給できない独立したシステムである点も共通している」(加藤氏)。つまり、車載用SOFCの開発というゴールに向け、まずは要求特性が似ているドローン向けで技術を鍛える算段だ。

大型化に向く独自構造

 今回のNEDOのプロジェクトで日産は、SOFCセルの試作や分析を担当している。そしてアツミテックがSOFCモジュールやシステムを開発し、プロドローンがドローンへの搭載性などを検討する。

 ドローンには小型から超大型までさまざまな種類があるが、同プロジェクトでは中・大型機をターゲットにしている。この領域なら、出力と重量のバランスで燃料電池を採用するメリットを出せるからだ。具体的には、中型は離陸重量が11.5kg、ペイロードが最大2kgの機体で、燃料電池スタックは重さ5kg、出力1.3kW。大型は離陸重量が30kgでペイロードが8kg、スタックは12kgで出力3.3kWを想定している。

 同プロジェクトは2021年8月に開始され、2023年3月末に終了の予定(進捗しだいで2年間の延長もあり)。2022年7月にはこれまでの開発成果が報告された。

 成果報告書によれば、日産は10cm2のSOFCセルを開発(図1)。アツミテックがそれを32枚(16段×2枚)積層したモジュールを開発し、104Wで発電することを確認した(図2)。

図1 日産が開発したSOFCの基準セル
サイズは10cm2。セラミックスの電解質を金属で挟む「メタルサポート」技術に特徴がある。この技術を採用したセルは、世界的にもまだ実用化されていないという(写真:日産自動車)
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図2 発電試験用の燃料電池モジュール
基準セルを32枚(16段×2枚)積層した。動作温度700℃で104Wの出力を確認した。モジュールはアツミテックが開発した(写真:日産自動車)
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 出力密度は327mW/cm2で、当初目標としていた312.5mW/cm2以上をクリアした(図3)。なお、今回は燃料として100%の水素ガスを投入したという。

図3 発電試験用モジュールの出力特性
100%水素ガスを燃料とし、700℃での動作時に最高出力密度の327mW/cm2を記録した。今後はカセットボンベで使われているブタンを燃料とした発電試験を実施する予定としている(出所:日産自動車)
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 日産が開発したセルは、大型化に向く「メタルサポート」技術に特徴がある。SOFCでは電解質にジルコニア系のセラミックスが使われるが、メタルサポートは電解質の上下に金属層を設ける。セラミックスは熱伝導率が低いため、急速に熱がかかると部分的に温度が上昇して割れてしまったりする。一方、メタルサポートでは金属層で熱が拡散するため、セルを積層して大型化した際に割れにくくなるという。金属材料には、酸化に強く高耐熱性があるステンレス鋼を用いる。

 「もろいセラミックスを金属でサポートする。セルとしては同じ厚みだが、セラミックス部分を薄くして金属層を設けることで急速加熱や振動に対する耐衝撃性を持たせている」と日産総合研究所 EVシステム研究所主任研究員の塩見岳史氏は説明する。

最低でも数kWは欲しい

 NEDOのプロジェクトでは今後、開発したSOFCモジュールのブタンガスでの発電試験やSOFCを想定したドローンの機体設計などを実施する予定だ。一方、日産では車への搭載を目標にセルの大型化やバイオエタノールなどの液体燃料を使えるかどうかの検証を、別途進める方針という。

 現状でもドローン向けであれば、10cm2のセルを積層して十分な出力を実現できるというが、「車載用途では最低でも数kWの出力が欲しい。車格によっては10kW以上が要求されるケースもある」(加藤氏)という。燃料電池なのでセルを積層することで高出力化は可能だが、小型のセルを多数積層するとデッドスペースが大きくなり、出力密度が低下してしまう。このため、車への応用にはセル自身の大型化が必須になる。

 さらに、燃料として液体を使えるかどうかは利便性などの観点で非常に重要になる。「液体は取り扱いが容易でモビリティーに搭載しやすい。一方で、燃料を液体から気化させるプロセスが入るので、システムの技術開発は難易度が高い」(加藤氏)としている。

 

日産は燃料電池であえてSOFC開発、ドローンで鍛えクルマへ | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

日産は燃料電池であえてSOFC開発、ドローンで鍛えクルマへ

 「液体で燃料を充填し、高効率に電気を生成できる固体酸化物型燃料電池(SOFC)を実用化できれば、移動体である自動車にとって有用なエネルギー源の1つになる」(日産自動車EVシステム

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