コマツ・日立建機・コベルコ建機…先陣争い活発化「電動ショベル」に吹く追い風
2023年、建設機械大手による電動ショベル開発の動きが加速した。 コマツはリチウムイオン電池(LiB)を搭載した0・5トンクラスの電動マイクロショベルを10月に国内で発売。並行して欧州でも3トンクラスの電動ショベルを投入する。日立建機は電動化ビジネスモデルを構築するための新組織を10月に発足。コベルコ建機は五日市工場(広島市佐伯区)で水素燃料電池ショベルの試作車を公開したことに加え、ミニショベルと5トンクラスの電動ショベルを25年中に欧州で投入を目指す。
住友建機も量産型電動ショベルの投入を見据えるなど、先陣争いが活発化している。 【一覧表】建設機械メーカー3社の業績詳細 華やかな話題が先行する電動ショベル市場だが、ショベル全体のうちで電動ショベルの占める割合は1%程度に過ぎない。それにもかかわらず各社が研究開発費を投入して開発に取り組むのは、世界で広がる環境規制やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の流れに対応するためだ。 二酸化炭素(CO2)排出をめぐる国際社会の目は年々厳しくなる。建設機械は乗用車や軽自動車と比べて車体重量も駆動パワーもケタ違いに大きく、CO2排出の多い機械とのイメージが強い。世界の鉱山大手はこれを見越してトロリー(電線給電)式を含めた鉱山機械とダンプトラックの電動化を急ぎ、こうした需要も建機各社に追い風となる。 現状、LiB稼働では稼働時間、給電時間などを考えると20トンクラスショベルまでが限界と言われ、それ以上の大型機はトロリー式や水素燃料電池の出番となる。一方、ミニショベルではこの制約が小さく、都市部では電源確保も容易とあって静音性、排ガスゼロ、低振動など電動式の長所が生かせ、先行普及するとの見方が強い。 コマツは23年度を電動化建機の市場投入元年に位置付け、24年度は20トン型など多数の商品投入を計画する。各国で環境規制や電動化への政府補助などが進めばこの流れが加速する可能性もある。
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