後発の水電解技術AEMにも参戦続々、耐久性克服なら主役級
アルカリ水電解(AWE)やプロトン交換膜(PEM)に比べて、開発メーカーが極端に少なかったのがアニオン交換膜(AEM)形水電解装置である。ただし、技術的にはAWEとPEMのいいとこ取りとも言われ、優れた点が多い。特に、触媒に高価なレアメタルが不要で、コストをPEMに比べて大幅に下げられる可能性がある。
課題は耐久性の確保で、セルスタックはまだPEMの数分の1程度の時間しか使えないもようだ。この点についてこれまで唯一、製品化していたドイツEnapterの戦略は、電気自動車(EV)を刷新した米Tesla(テスラ)のそれに似ている。つまり、非常に小さなモジュールを多数使い、制御していくことだ(図1)。
具体的には、MW級の大型装置でも、出力が0.5Nm3/時と手で持てるほど超小型のセルスタックを多数使う設計にした。こうすると、セルスタックが1つ壊れても制御で全体には影響が出ないようにでき、交換も容易になる。Enapter製品の輸入代理店の1つで機械系商社兼システムインテグレーターの三國機械工業 環境プロジェクト本部 プラント営業部長の三田逸郎氏は、「数を量産することが、コスト低減への早道という考えもEnapterにはあるようだ」という。
三田氏によれば、あまり知られていないAEMの特長として、カソード側に漏れてくる水がPEMに比べて大幅に少ない点を挙げる(図2)。PEMでは水が漏れるのを防ぐ仕組みがないのに対し、AEMでは隔膜を透過してきた水がカソードで即座に分解されるからのようだ。
部材では激しいシェア競争も
最近は、Enapterに続く装置メーカーや部材メーカーも複数登場してきた。例えば、カナダCipher Neutronは2023年8月以降、AEM形の製品を幾つかのグリーン水素プロジェクトに納入し始めた。ただし、現時点では装置の規模は10kWと小型だ。特長は、PFASフリーであることだとする。
また、第2部で紹介した、工場の規模が計画では15GWと現時点で世界最大の米EvolOHもAEMを採用した。
AEM向け隔膜またはMEAでは、実はトクヤマやドイツFumatechが以前から製品を出荷している。最近はこれに、米Dioxide MaterialsやドイツEvonik Industriesも参戦。さらに、上述のようにパナソニックも、NiFe-LDHをアノードに用いたMEAで参戦する(図3)。近い将来、競争が急速に激しくなりそうだ。
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