中国の自動車メーカー、次は水素に照準。各社が燃料電池車の実用化に本腰
中国北京市で2023年12月1日に開催された「中国燃料電池自動車大会」において、「中国の高速道路への水素ステーション建設に向けた行動提議」が発表された。この提議には、京津冀(北京市・天津市・河北省)、上海市、広東省、鄭州市、河北省の5つのモデル都市群を中心に、高速道路への水素ステーション設置を加速する狙いがある。5つのモデル都市群には41の都市が含まれており、これらの都市を結ぶ高速道路で水素補給可能なネットワークの構築を目指す。 ほかの写真を見る 水素エネルギーにはコスト面や輸送・補給方法、さらに最も重要な安全性などで解決すべき多くの技術的課題があるものの、自動車メーカーはひるむことなく燃料電池自動車(FCV)の開発に力を注いでいる。実際、商用車の分野ではすでにFCVが実用化されている。ただ、参入の早かった日本のトヨタや韓国の現代自動車(ヒョンデ)が技術面で大きくリードしているため、中国の自動車メーカーが追いつくにはさらなるペースアップが必要になる。
世界的な気候変動に伴い、各国ではカーボンニュートラルの達成に向けて温室効果ガス排出量の削減目標を設定した。近年は電気自動車(EV)の普及が大々的に推し進められているが、カーボンニュートラルを達成するうえでの最善策とは言えないだろう。EVは、走行時の二酸化炭素(CO2)排出量は少ないが、製造過程でガソリン車よりも多くのCO2を排出するとされるからだ。 FCVはこの2年ほどでますます注目を集めるようになった。理論的にEVよりも進んだ技術であり、無公害、再生可能、エネルギー効率の高さという3つの利点があるため、よりカーボンニュートラルの目標達成につながりやすい。 こうした理由から、ここ数年の間に中国の水素エネルギー産業は急成長し、多くの自動車メーカーが続々と参入してきた。FCVの技術的な難関を突破した企業が、次の時代の覇者となるのは間違いない。 ある統計によると、2023年1~11月の中国のFCV生産台数は、前年同期から35%増加して5261台となった。中国には現在、FCVを生産できる企業が62社あり、公表されているだけでも700車種以上が生産されており、その多くを商用車が占めている。 中国自動車大手の長城汽車(Great Wall Motor)は、早くも2016年に水素エネルギーの分野に着手した。21年に開催した水素エネルギーに関する戦略発表会では、商用車・乗用車の双方に注力することを発表。活用シーンをさらに探ることで技術や産業の成長を促し、製品の実用化を加速する方針を明らかにした。 乗用FCVの分野では、2021年末までに世界初となるCクラスのSUVタイプFCVを発表するとしていた。残念ながら、その後は商用車部門で新たな動きがあったものの、SUVタイプのFCVはいまだ発表されていない。
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