ビル・ゲイツも支援する「地中水素」採掘企業が370億円を調達
地下の天然鉱床から「地中水素(geologic hydrogen)」と呼ばれるカーボンフリーな水素を採掘するスタートアップのKoloma(コロマ)は、新たに2億4570万ドル(約370億円)の資金を調達した。 デンバーを拠点とするコロマは2月9日、米証券取引委員会(SEC)の提出書類で新たな資金調達を公表した。このラウンドはKhosla Ventures(コースラベンチャーズ)の主導によるもので、アマゾンのClimate Pledge Fundとユナイテッド航空のSustainable Flight Fundも参加した。これまでビル・ゲイツのブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズなどからも資金を獲得しているコロマの累計調達額は、3億ドル(約450億円)を突破した。 同社は、この前日の8日に、米エネルギー省が地中水素の採掘テクノロジーの開発を支援するために設定した総額2000万ドルの助成金の支給対象の1社に選ばれていた。 3年前にひっそりと設立され、秘密裏に活動してきたコロマは、昨年7月のフォーブスの記事によってステルスモードを抜け出した。同社は、地中水素の採掘に関連する16件の特許を出願したオハイオ州立大学の地質学者であるトム・ダラーの広範な研究を商業化している。コロマの共同創業者でCTOを務めるダラーは、地中の水素ポケットが発見されやすい場所や、石油・ガス産業で開発された技術を活用して資源を得る方法を研究してきた。 地中水素が、米国だけでなく世界各地の地下で自然に生成されているという事実は、この1年で急速に知られつつある。サイエンス誌は2月8日付の記事で、アルバニアの鉱山で水素ガスの噴出が確認されたと報じていた。「地中水素はどの大陸にも存在する」と、ダラーは昨年のインタビューで述べていた。 二酸化炭素(CO2)を排出しない水素エネルギーは、燃料電池車(FCV)の動力源や電力の貯蔵と製造にも利用されている。しかし、現在の工業用水素のほとんどは、天然ガスを分解して製造されており、そのプロセスでCO2を排出する。CO2を出さない「グリーン水素」の製造法としては、電気分解を使って水から水素を取り出す方法も有望だが、コストが高いのが難点だ。そんな中、地中水素は、古くから確立されている石油や石炭の掘削技術を活用できることから、この方法が最も安価に水素を得る方法だと考えられている。 コロマの主な出資元であるエナジー・インパクト・パートナーズでリサーチ責任者を務めるアンディ・ルバーシェーンは、「私たちは、この分野でコロマが先陣を切っており、独自の強みを持っていると考えている」と述べている。 バイデン政権は、水素燃料の大量生産を促進しようとしており、米財務省は昨年末に提案した税額控除規則に、CO2をほとんど排出せずに製造された水素に対し、1キログラムあたり最大3ドルのクレジットを提供する案を盛り込んだ。この対象には、グリーン水素の他に地中水素が含まれている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/26ffb8aa71181896419443cd9c6a8fbe0480299f
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