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 Hannover Messe 2024には出展しなかった企業や研究所の中にも、PEM(Proton Exchange Membrane)形水電解装置でイリジウム(Ir)の使用量を大きく低減させつつあるところは複数ある。

 その1つが、理化学研究所だ。同研究所は2024年5月に、Irの使用量を0.08mg/cm2まで低減したと発表した。

理研はIrを原子単位で活用

 理化学研究所の工夫は、Irを原子単位で用いたことだ(図A-1)注A-1)。Irは、二酸化マンガン(MnO2)のMn原子の一部をIrで置換した格好で、価数は6価であるという注A-2)。同研究所はこの触媒を「atomically dispersed IrVI oxide (IrVI-ado)」と呼ぶ。

図A-1 Irを原子単位で利用
IrVI-ado触媒の高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡(HAADF-STEM)写真。白い輝点がそれぞれIr原子である(出所:理化学研究所)
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注A-1)具体的には、MnO2/PTL電極を、K2IrCl6を溶解させた希硫酸にセ氏95度で6時間以上浸漬してIrを吸着させた後、セ氏450度で焼成した。
注A-2)この結果、MnO2中のMn原子も、電荷のバランスを取るために一部が元の4価から3価になる。「平均的には3.6~3.7価になっている」(理化学研究所 研究員の孔爽氏)。

 理化学研究所によれば、これまでのPEMでは、Ir触媒は、数万個の酸化イリジウム(IrO2)またはIr原子から成る、粒径が数十nmのナノ粒子の形で使われていて、ナノ粒子内部のIr原子は触媒機能に貢献していなかったとする。今回、Irを原子単位で活用することで、少ないIr使用量でも触媒としての性能を確保できると考えた。

大面積化と耐久性向上がカギに

 理化学研究所はこの技術の実用化を東ソーなどと協力して進めているという。今後のポイントとなるのは、大面積化と耐久性の向上になりそうだ。

 実用化するにはまず、現時点で1cm2であるこの触媒付きPTLを、少なくとも数十cm角に拡大する必要がある。

 また、耐久性についても、現在実用化されているPEM形水電解向けMEAやCCMの耐久性は3万~8万時間。研究開発レベルでは連続運転で10年、すなわち8万7000時間超の実現も視野に入りつつある。

 一方、今回の技術の耐久性は、電流密度が1.8A/cm2の場合に2500時間以上、同1A/cm2であれば3800時間以上であることを確認したとする(図A-2(a))。しかもそれが限界値ではない注A-3)。

図A-2 0.08mg/cm2であれば耐久性は3800時間以上
Irの使用量が0.02mg/cm2、0.04mg/cm2、0.08mg/cm2でそれぞれ1A/cm2の電流を流した場合のIrVI-ado触媒の耐久性(a)。0.02mg/cm2では1710時間が限界。0.04mg/cm2の場合、一見安定だがわずかに電圧が上昇しており、2000時間で測定を停止。0.08mg/cm2の場合は3800時間たっても電圧上昇がみられなかったが、システムの故障で測定を停止した。IrVI-ado触媒(赤いプロット)と既報のIr触媒の質量活性と触媒回転数(Ir原子1個が生産する酸素分子O2の数)の関係(b)。IrVI-ado触媒は質量活性と触媒回転数の両方でトップクラスにいる。図中のローマ数字(I~V)は試料番号で、それぞれIrVI-ado触媒中のIr利用量と電流密度が異なる。IVはIrの利用量が0.08mg/cm2で電流密度が1.8A/cm2のケース、Vは同0.02mg/cm2、2A/cm2のケース(出所:理化学研究所)
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注A-3)“3800時間以上”というのは、3800時間測定したところで水回りのシステムが故障して、測定を続けられなかったのだという。

 触媒材料自体は、論文で既報のIr触媒のほとんどを触媒活性やIr原子1個当たりの酸素(O2)の生産性(専門用語では触媒回転数)で上回り、潜在力が高い(図A-2(b))。

 この研究ではIrの使用量をさらに減らした0.04mg/cm2や0.02mg/cm2も試したが、そこまでIr使用量を減らすとさすがに耐久性は低下するようだ。

 

0.1mg/cm2以下や“Irフリー”の研究開発が進展 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

0.1mg/cm2以下や“Irフリー”の研究開発が進展

 Hannover Messe 2024には出展しなかった企業や研究所の中にも、PEM(Proton Exchange Membrane)形水電解装置でイリジウム(Ir)の使用量を大きく低減させつつあるところは複数ある。

xtech.nikkei.com

 

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