食塩電解セルから希少金属を回収・再生、旭化成ら日欧4社が実証
旭化成とフルヤ金属は、クロールアルカリのプロセスで使う食塩電解セルから金属を回収・再利用する実証を開始した。クロールアルカリは、塩水を電気分解して塩素と水酸化ナトリウム(カセイソーダ)を得る手法。使用済みセル及び電極に含まれる金属をリサイクルし、塩素と水酸化ナトリウムの製造における資源循環を実現させる。2社はクロールアルカリ事業を手掛けるオランダNobian Industrial Chemicals、貴金属リサイクルを手掛ける英Mastermeltと連携し、リサイクルプロセスの確立を目指す。

旭化成とフルヤ金属がそれぞれ、2025年4月23日に発表した。実証ではまず、耐用年数を迎えた電極を旭化成がNobianから回収する。次に、Mastermeltとフルヤ金属が電極から触媒を剥離・加工してイリジウムやルテニウムなどの希少金属を抽出・高純度化する。さらに、旭化成がそれらの金属を原材料とした触媒を塗布して電極を造る。リサイクル材による触媒を用いた電極をNobianが食塩電解に利用することで、金属資源を循環させる。
イリジウムやルテニウムは産出量が限られる一方、電池・電子部品で採用が増えているほか、固体高分子(PEM)型水電解装置でも高耐久部材や触媒としての需要が高まっている。それに伴いクロールアルカリ業界でも、価格の上昇と調達難に苦労しているという。旭化成とフルヤ金属は今回の取り組みを通して、セルと電極の安定供給を図る。旭化成によると、クロールアルカリの2024年の世界需要は約1億トン。同社のイオン交換膜法食塩電解プロセスは30カ国・160工場以上(2024年12月現在)で採用されているという。
旭化成は今後、イリジウムやルテニウムをリサイクルする仕組みをクロールアルカリ業界全体に拡大してエコシステムの構築を目指す。このエコシステムにトレーサビリティーを付与して循環性を高めるとともに流れを可視化し、リサイクルした金属を活用したセル・電極の導入を推進する。グリーン水素の製造に向けた水電解分野への応用にも取り組む。フルヤ金属も、多くの産業でイリジウムやルテニウムの用途を広げるとしている。
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食塩電解セルから希少金属を回収・再生、旭化成ら日欧4社が実証
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