単価6.5倍、それでも専用の冷却水が必要な理由 トヨタ「ミライ」
少しとろみのある透明な液体が、勢いよく飛び出してきた。
「これが高いんですよ」。トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の分解作業を進める整備士がつぶやく。燃料電池(FC)スタックから冷却水を排出しているときだった(図1)。
この透明な冷却水は、発電部であるFCスタックを温度管理するための専用クーラントである。外販価格は1Lあたり9680円。トヨタがPCU(パワー・コントロール・ユニット)向けに用意しているピンク色のクーラント(LLC、ロング・ライフ・クーラント)の約6.5倍と高額だ。
ミライのFCスタックは16.4Lもの専用冷却水を使うため、単純計算で約16万円近い。不具合などがない限り交換不要な冷却液ではあるもの、FCシステムのコスト低減を妨げる要因の1つになっているようだ。
ホンダもFC専用冷却水を採用
高コストなFCシステム専用の冷却液を使うのは、絶縁性を確保するためだ。FCスタックには300Vを超える電圧が生じる。冷却水の電気抵抗が低いと、冷却水やラジエーターなどを通じてボディーと接続され、絶縁性を確保できなくなる。LLCは電気抵抗が低く、FC用には流用できない。このため、電気抵抗が高い専用品が必要となる。
専用品であっても、使用が進むにつれて電気抵抗が下がってくる。冷却水にイオンが溶け込むためだ。このイオンを除去して絶縁性を確保するため、ミライの冷却水の経路にはイオン交換器が配置されている(図2)。
FC専用の冷却水を使うのは、トヨタに限った話ではない。米GMと次期FCシステムを開発するホンダも、「絶縁性の高い専用冷却水は必須」(ホンダの技術者)とみる。その言葉を裏付けるように、同社が2022年3月に展示会で披露したFCシステムには、イオン交換器が搭載されていた。
FCスタックの冷却水を流す配管はラジエーターとつながる。ミライのフロントグリル内から取り出したラジエーターは、3層構造の大掛かりなものだった(図3)。これが珍しい。
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