マイクロソフトのインダストリアル・メタバース、ボッシュのグリーン水素製品とは

今回は、ドイツのハノーバーメッセ2023の主要テーマの内、「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」「水素&燃料電池(Hydrogen & Fuel Cells)」について紹介します。これらのテーマの対象となるのは、デジタルツインやインダストリアル・メタバース、天然ガスの代替としてのグリーン水素関連などの製品群です。マイクロソフトやドイツ大手メーカーのボッシュ、ソフトウェア大手SAP、ダッソー・システムズなどの取り組みをドイツ現地で取材しました。
デジタルツインやインダストリアル・メタバースが進展
すでに述べたように、インダストリー4.0は、2011年のハノーバーメッセで発表されています。 ドイツ産業界におけるMade in Germanyのアップデートであるインダストリー4.0はビジョンではあるものの、今後は、適応性のあるユースケースに小分けして提供される必要があるとしています。 その中で、本年は特にデジタルツインやインダストリアル・メタバースに関する取り組みが進んでいることが確認できました。 アセット管理シェル(AAS: Asset Administration Shell)は、インダストリー4.0の代表的なショーケースプロジェクトであり、ハノーバーメッセの多くの出展者が現在自社製品に取り込み、顧客に提供しているコンポーネントの標準化を実現するものになってきています。そしてインダストリー4.0を支える重要なテクノロジーであるデジタルツインを支えるグローバルスタンダードになるとしています。 こういった中で、マイクロソフトはインダストリアル・メタバースで遠隔技術者の共同作業をサポートするデモを展示しました。 この中で、マイクロソフトはインダストリアル・メタバースにより、離れた場所にいる技術者が、時間や場所の壁を越えて共同作業ができるようにすることを目指しているとしています。実用化されれば、製造業の現場に革新的な変化をもたらすとのことでした。 IoTでデータを取得し、そのデータを見える化し、さまざまな判断に役立てることまでは、多くの企業ですでに取り組まれていますが、あらゆるデータを可視化してシミュレーションまで行えるようにすることが今後必要であり、それを実現するのがデジタルツインです。 それをさらに、コミュニケーションの部分まで仮想環境で行えるようにするのがメタバースというのが同社の考え方です。 機械がアバター化すれば、“ちょっと調子が悪い”といったメッセージを機械自らが出してきて、物理的に離れた場所に置いてあっても修理までできるようになります。 筆者も場所が離れていても寄り添う感覚でコミュニケーションがとれることがインダストリアル・メタバースの中で最も重要な要素なのだろうと感じました。 ハノーバーメッセ2023ではマイクロソフト以外にも、フランフォーファー研究機構、シーメンス、SAP、AVEVAなどがインダストリアル・メタバースの展示を行っていました。
ボッシュやダッソー・システムズの「デジタルツイン」
自動車部品や電動工具大手ボッシュ傘下のBosch rexrothは、AASを使用し、サプライヤなどさまざまな企業とブース間で連携し、柔軟な製造を行うためのカスタマイズ可能なデジタルツインソリューションを紹介していました。 ブラウンフィールドおよびグリーンフィールド資産の技術的統合とオーケストレーションを簡素化し、ライフサイクル全体にわたってデータとプロセスの透明性を実現するとしています。 ダッソー・システムズはデジタルツイン、PLM(BOM)、MES、ARなどを組み合わせ、ユーザのエクスペリエンス価値を高めるための方策について訴求していました。以下の4つのユースケース事例を展示し、エンジニアリングチェーンにおける全体最適の必要性を訴求していました。 ・メンテナンスエンジニアの生産性を高めるユースケース 検査プロセスの生産性を高めるユースケース ワークプロセスの生産性を高めるユースケース 最終検査の全自動化(ロボット化)のユースケース
3つのデジタルツイン、SAPはサステナビリティ重視
ARソリューションについては、ダッソー・システムズが昨年買収したフランスのARソリューションベンダーであるDiotaのソリューションを組み合わせています。 電気回路設計および電気工学用のCADソフトウェアの世界的メーカーであるEPLANは、電気産業、電子産業向けの自動化ソフトウェアソリューションを用い、これらの領域でもエンジニアリングチェーンをデジタルツインでつなぐことが重要であることを訴求していました。 同社は以下の3つのデジタルツインで電気設計から配線、実行まで、一連して実行管理が可能な流れを実演していました。 ・オートメーションツイン プロダクトツイン プロダクションツイン メーカー設計や電気設計のデジタルデータを用いて、製造までのプロセスをクラウドで実現する流れとあわせ、その中で実現場を担うフィジカルのプレイヤーも必要であることを訴求し、同社グループではRittalがそのフィジカルの部分の役割を担い、最適な製品を提供することで、エンドツーエンドでのサービスを実現する姿を展示していました。 ERP大手のSAPは、レジリエントでサステナブルな社会が目指される中で、企業にはマーケットコンディションに応じた、トランスフォーメーションが求められ、サステナビリティもビジネスネットワークも含めた広義のサプライチェーンの全体最適が必要であることを訴求していました。 そのために重要なのは、グローバルサプライチェーンやマニュファクチャリングソフトウェア・ツールであり、SAPがカスタマーセントリックを実現するこれらのプロダクトをより早く、より低コストで市場に投入することを支援するというのがそのスタンスであると感じました。 Catena-Xの推進やDPPの対応、AASベースでのデジタルツインの実現や連携といった、標準化、エコシステムの実現に強くコミットしているところもSAPのポイントと言えます。
ボッシュらが「グリーン水素」関連ソリューション
欧州委員会は、天然ガスの代替資源として、水素に注目しています。2030年までに化石エネルギー源をベースにしている現在主流のグレー水素をグリーン水素に置き換えることを目標としており、その実現手法とポイントについて各社が訴求していました。 ボッシュの「PEM electrolysis stack」は水素を製造するための電解槽の心臓部であり、コントロールユニット、パワーエレクトロニクス、センサーといった自動車分野の高品質なコンポーネントも、これを補完するために使用されますが、一体にして「スマートモジュール」として提供することを訴求していました。 また、ボッシュはデジタルツインによる燃料電池の効率化に関する展示も行っています。気候変動に配慮した定置用固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)システムにより、将来的にさまざまなアプリケーションにグリーン電力を供給することになることを考えると、デジタルツインにより、各セルのリアルタイムモニタリングが可能になり、ライフサイクル全体にわたって完全な透明性を確保できることが重要であるとしています。 SOFCはバイオガス、天然ガス、水素から電気と熱を発生させる分散型システムであり、ボッシュは総合効率85%とエネルギー効率の高さではトップランナーです。 AI技術により、システム構成の最適化やメンテナンス・サービス、セクターカップリングなどを支援しています。 次回は「AI & マシンラーニング」のテーマに関する出展の詳細とハノーバーメッセ2023から日本が学ぶべきことなどについて考察する予定です。
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マイクロソフトのインダストリアル・メタバース、ボッシュのグリーン水素製品とは(ビジネ
今回は、ドイツのハノーバーメッセ2023の主要テーマの内、「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」「水素&燃料電池(Hydrogen & Fuel Cells)」について紹介します。
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