東レ、水素製造装置用の膜生産設備 滋賀の工場に
東レ は18日、水素製造装置向けの電解質膜の生産設備を滋賀県の工場に新設すると発表した。投資額は560億円で、最大で3分の1は政府からの補助金でまかなう。将来的に増えると見込まれる水素需要を見据え、2029年の稼働開始を目指す。
同社は「固体高分子膜(PEM)型」と呼ばれる水電解装置向けの電解質膜を手がけている。新設備では水電解装置の能力に換算して10ギガ(ギガは10億)ワットにあたる膜を生産できる体制を整える。経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択され、最大で186億円の助成を受ける。
PEM型の水電解装置は変動する電源への対応がしやすく太陽光発電などと相性が良いとされ、同社は山梨県での大規模実証事業などに参加している。水素関連事業では他にも高圧水素ガスタンク向けに使われる炭素繊維などを手がけており、2030年に3000億円の売り上げ規模を目指している。
東レ、水素製造装置用の膜生産設備 滋賀の工場に - 日本経済新聞
東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大矢 光雄、以下「東レ」)は、水電解装置に用いられる電解質膜のGW級量産体制構築が、カーボンニュートラルと経済成長の両立を目指すグリーントランスフォーメーション(Green Transformation、以下「GX」)分野の国内製造サプライチェーンを世界に先駆けて構築することを目的とした、経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択されました。
東レは、産業分野のGX実現のキー技術とされる水電解水素製造装置について、固体高分子(PEM)形水電解装置の飛躍的高性能化に寄与する部材である、高プロトン伝導性と低ガス透過性を兼ね備えた東レ独自の炭化水素系(HC)電解質膜を開発し、その量産技術開発と事業開発を進めてきました。
東レは、山梨県(県庁:山梨県甲府市、知事:長崎 幸太郎)および技術開発参画企業9社※1とともに、グリーンイノベーション基金事業における国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業である、大規模P2Gシステム※2によるエネルギー需要転換・利用技術開発に係る実証事業を進めています。
実証地であるサントリー天然水 南アルプス白州工場およびサントリー白州蒸溜所(山梨県北杜市)の脱炭素化を目指して、再生可能エネルギーを安全・安心に水素エネルギーに転換できるPEM形水電解装置をモジュール化したP2Gシステムを16MW規模で導入し、大規模需要家がボイラ等で利用する化石燃料を水素エネルギーに転換する実証計画を進めるべく、2024年2月に現地工事を開始しました。
今回採択された投資計画の構想は、HC電解質膜について、水電解装置能力に換算して10GW以上の規模の生産能力を2028年度中に構築するもので、投資額は560億円です。
今後、再生可能エネルギーの活用が進むにつれPEM形水電解装置の市場規模も拡大し、2030年代前半には電解質膜の市場として年間1,000億円を超える規模に成長することが期待されています。東レはPEM形水電解装置の市場における電解質膜のNo.1サプライヤーとなり、水素社会の実現に貢献することを目指しています。
東レは、優れた先端素材の力で「温室効果ガスの排出と吸収のバランスのとれた世界」など持続可能な社会の実現に取り組んでいます。本事業においてHC電解質膜の生産体制を整備し、パートナーと協力してHC電解質膜を搭載した高効率水電解装置を展開し、グリーン水素サプライチェーンの構築を通じて、水素社会・カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
水電解装置部素材のGW級量産体制構築事業の経済産業省「GXサプライチェーン構築支援事業」への採択について | ニュースルーム | TORAY