三菱重工が高砂で5MW級水電解装置などを公開、クリーン水素のショーケースに
三菱重工業は2023年10月18日、同9月に稼働させたばかりの、水素混焼または専焼火力発電システムの実証施設「高砂水素パーク」と、そこで水素を生産するための水電解装置などを報道陣に一部公開した(図1)。
高砂水素パークは兵庫県高砂市の埋め立て地にある。以前から三菱重工業が火力発電技術の研究所やタービンの設計・製造施設、そして実証施設を集積していた場所だ。同社はそこに、各種の水電解装置やその他の方式でクリーン水素†を生産する技術を次々に導入しつつある。
水電解装置の規模は国内最大級に迫る
既に導入済みで、2023年9月に稼働させたのが、ノルウェーHydrogenPro(ハイドロジェンプロ)製の5.5MW規模のアルカリ水電解装置†(図2)。薄い水電解セルを400枚超連結した大型セルスタックと、そこから排出される水素と酸素を一時的に貯蔵する2つのタンクから成る。
生産能力は1100Nm3†/時/セルスタック。旭化成と旭化成エンジニアリングが福島県・浪江町の「福島水素エネルギー研究フィールド」に導入した10MW規模のアルカリ水電解装置の1200Nm3/時/セルスタックに迫る。
30時間超の水電解で30%混焼火力の1時間分の水素
このハイドロジェンプロの装置で生産できる水素は30時間超で約3.5トン。これは三菱重工業が2023年11月に開始予定の水素30%混焼火力発電の1時間分だという。
三菱重工業は、米国エネルギー省(DoE)が進めるグリーン水素の生産・貯蔵プロジェクト「ADVANCED CLEAN ENERGY STORAGE」の中で、米国ユタ州にこの装置を40台、つまり200MW分導入し、2025年までに稼働させる計画。
このハイドロジェンプロのアルカリ水電解装置を選択、導入したのもユタ州の案件があったためで、「時間を買った」(三菱重工業)という。
ちなみにこのユタ州での水素貯蔵は、地下の岩塩層に水を注入して縦長の穴を2本開け、そこに水素を貯蔵する。
一方、高砂水素パークでは1本10kgの水素を貯蔵できる水素ボンベ350本に約20MPaで圧縮した水素を貯蔵する(図3)。三菱重工業は近く、このボンベの数を約3倍に増やす計画だ。
燃料電池の逆反応の装置も導入
一方、同社独自の水電解技術またはクリーン水素生産技術も計3タイプ開発中だという。具体的には、(1)固体酸化物形電解セル(SOEC)、(2)アニオン交換膜(AEM)形水電解、(3)ターコイズ水素生成、の3タイプである。
(1)は、家庭用燃料電池製品「エネファーム」に多い、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の逆の反応で水素を生産する技術。技術的にもほぼ同じで、三菱重工業は、既に開発、製品化済みのSOFC技術を基にSOEC装置を開発中だという。2024年春に高砂水素パークに大型装置を設置予定で既に、基礎工事を始めている。「エネルギー効率が高く、大規模化しやすいため、当社が手掛ける水素生産技術の本命といえる」(三菱重工業)。
三菱重工が高砂で5MW級水電解装置などを公開、クリーン水素のショーケースに | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
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