PEM形水電解は各社が独自性を主張、小型化に向かう例も
ドイツの国際展示会「Hannover Messe 2024」では、水を再生可能エネルギーの電力で電気分解してグリーン水素を取り出すための水電解装置や部材の出展が相次いだ。この水電解装置にはいくつか種類があるが、今回の展示会で最も出展が多かったのが、PEM(形)†と呼ばれるタイプである。
PEM形水電解は、固体高分子形燃料電池(PEFCまたはPEMFC)の逆の化学反応プロセスであり、大半の部材や技術が共通している。このため、これまで燃料電池車(FCV)など向けにPEFCを開発していたメーカーが、PEMで水電解事業に参入するケースが多い。トヨタ自動車もその1社である。今回のHannover Messeでも、PEFCのセルスタックとセットのように、PEMのセルスタックが置かれているケースが目立った。
小型化で「80%コストダウン」
このHannover Messe 2024で見えたPEMの新たな傾向は、これまで似たり寄ったりだった開発の方向性が、様々な方向に分岐しつつあることだ。例えば、これまでPEM形水電解のセルスタックは徐々に大型化する傾向が強かった。今回はドイツRobert Boschが開発中の1.25MW級のセルスタックをはじめ、人の背丈に並ぶようなPEMとしては大型のセルスタックの出展が相次いだ(図1)。
一方で、その逆、つまり小型化の方向も出てきた(図2)。典型例がドイツの研究所であるFraunhofer Institute for Machine Tools and Forming Technology(IWU)が出展した12kW級、すなわちBoschの約1/100の規模のセルスタックである。これでも「量産モデル」(同研究所)だという。
ここまで小型にしたのは、その方が製造しやすく、数も出やすいため、量産効果によってコストの低減につながるといった考えによる。ただし、水電解システム自体は小型にはならない。「このセルスタックを多数用いることで1システムはコンテナサイズになる」(Fraunhofer IWU)とする。
量産は、「ロール・スタンピング」(同研究所)と呼ぶ、ロール・ツー・ロール(R2R)とスタンプ、すなわち金型を押し付けて成型する方式を組み合わせて進めることで、「従来品に比べてコストを80%低減できる」(同)とする。パートナー企業8社と協力することで、2025年に製品化する計画だ。
量産プロセスについては、ドイツFraunhofer Institute for Electronic Nano Systems(ENAS)も、インクジェット印刷方式で製造したPEMやPEFC向けMEA†やそのインクを出展した(図3)。
最近までアルカリ水電解を選ぶ傾向が強かった中国メーカーも、最近はPEMを開発する例が増えてきた。今回は、R2Rで製造したフレキシブルなMEAシートや1m角近い大型のMEAもしくはCCM†を出展するなど、PEM形水電解装置の製造プロセスの革新に積極的な姿勢をアピールしている。
'New Energy' 카테고리의 다른 글
PEM形水電解でイリジウム低減競争、現状の1/10以下に (0) | 2024.06.14 |
---|---|
Ammonia technology roadmap (0) | 2024.06.13 |
Russian scientists propose radical new way to produce hydrogen — inside a gas well (0) | 2024.06.13 |
'South Korea must invest in hydrogen-based steelmaking — or lose out to Europe' (0) | 2024.06.13 |
삼성중공업, 암모니아 추진선 개발 박차…실증 설비 구축 완료 (0) | 2024.06.13 |