豊田通商、ユーラスエナジー、岩谷産業が愛知製鋼にてオンサイト型低炭素水素製造供給事業開始を検討
豊田通商株式会社(以下:豊田通商)、株式会社ユーラスエナジーホールディングス(以下:ユーラスエナジー)および岩谷産業株式会社(以下:岩谷産業)の3社は、需要家の敷地において再生可能エネルギー由来の電力を活用し、低炭素水素を製造・供給する「オンサイト型モデル」の構築に向けて共同で取り組んでまいります。
このたび、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律(以下:水素社会推進法)に基づく価格差に着目した支援」*1に経済産業省から認定され、愛知製鋼株式会社(以下:愛知製鋼)知多工場(愛知県東海市)において、2030年を目途にオンサイト型低炭素水素製造供給事業(以下:本事業)の開始を目指して、検討を進めてまいります。
背景
再生可能エネルギー由来の低炭素水素は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重要なエネルギー源として期待されている一方で、水素の製造・供給には依然としてコスト面や制度面での課題が多く、普及に向けた障壁となっています。
こうした状況を背景に、2024年10月に施行された水素社会推進法に基づき、計画認定制度や支援措置などが定められ、この中で、価格差に着目した支援には、低炭素水素等製造にかかる費用と既存の原燃料価格との差額を補填する助成金制度があります。
国による水素の供給および利用に関する制度的支援が本格的に開始されたことで、産業界を中心とした関係各所の連携が一層促進され、水素社会の早期実現に向けた取り組みの加速が期待されています。
本事業の概要
本事業では、愛知製鋼知多工場の敷地に、水を電気分解して水素を製造する水電解装置(トヨタ自動車株式会社製のスタック*²を用いて千代田化工建設株式会社が製造・販売する水電解装置を採用予定)を設置し、ユーラスエナジーが所有する風力発電所の電力を用いてオンサイトで低炭素水素を製造・供給します。愛知製鋼では、鋼材や鉄素材の加熱炉の一部において、現在使用している都市ガスに代えて、この水素を活用します。
3社は2027年3月に合同会社を設立し、設備の設計・設置を経て、年間約1,600トンの水素を製造・供給できる体制を構築し、2030年を目途に事業開始を目指してまいります。

3社は、本事業を通じて、オンサイト型低炭素水素製造・供給の最適モデルを構築し、水電解技術の性能と機能の向上を図ることで、政府が推進する水素社会の実現に貢献してまいります。また、本事業は中部圏における水素の社会実装を推進する重要な取り組みと位置付けられており、3社は、ファーストムーバー*³として、中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議*⁴とも相互に連携しながら、カーボンニュートラルの実現に寄与してまいります。
※1 認定を受けた低炭素水素等供給事業者が認定計画に従って継続的に低炭素水素等の供給を行うため、低炭素水素等の価格(基準価格)と既存の原燃料・原料の価格(参照価格)の差額を15年にわたり支援する制度
※2 水を水素と酸素に分解する「電解セル」を多数積み重ねて構成され、電気化学反応によって水素を生成する役割を担う構造体
※3 2030年頃までに日本において低炭素な水素・アンモニアの供給を開始する予定である事業者
※4 2050年のカーボンニュートラル実現に向け、中部圏において水素及びアンモニアの社会実装を地元自治体や経済団体が一体となって実施するために2022年2月に設立された会議体
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