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ドイツ・ハノーバーで開催された国際展示会「Hannover Messe 2024」では、グリーン水素生成のための水電解装置やその部材が多数出展された。

そこでPEM(Proton Exchange Membrane)形水電解装置と同程度に目立っていたのが、AEM(Anion Exchange Membrane)と呼ばれる方式のシステムや部材である。

 AEMは、実用化で先んじたアルカリ水電解(Alkaline Water Electrolysis:AWE)とPEM、固体酸化物形水電解セル(SOEC)に続く第4の水電解方式である。技術的には、水酸化物イオン(OH-)がキャリアとして電極間を動く点でAWEに似る一方、「MEA(Membrane Electrode Assembly) 」と呼ぶ電極間の構造や水素発生極(カソード)側で水を使わない点はPEMに似るため、AWEとPEMの中間的な方式ともいえる(図1)。

(a)AWE
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(b)AEM
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(c)PEM
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図1 AEMはAWEとPEMの中間的な方式
左から、アルカリ水電解(AWE)、AEM、PEMの各方式の概要を示した(出所:日経クロステック)
 優れた点は大きく3つ。(1)プロトン(H+)がキャリアのPEMと違って強い酸に電極がさらされないため、白金(Pt)やイリジウム(Ir)といったPt系貴金属(PGM)の触媒が必須ではなく、製造コストを大きく下げられる可能性がある、(2)膜技術はAWEとPEMの両方の知見が生かせる、(3)PEMに比べてカソード側への水の浸み出しが少なく、発生した水素と水の分離や水の再利用のための補器のコスト、およびメンテナンスコストが低い――といった点である。

耐久性に課題

 一方、課題は耐久性の低さで、これがAWEやPEMに比べてAEMが市場で出遅れていた最大要因だった。AEMを手掛けるメーカー自体、これまでは非常に少なく、ほぼドイツEnapter(エナプター)の孤軍奮闘状態だった。

 このため、水電解装置におけるAEMの市場シェアは2023年で約1%(米Rystad Energy調べ)と低い。今後の市場予測でもAWEやPEM、そしてSOECに比べて、AEMは市場規模がずっと小さく、2030年時点で市場シェア5%がやっとであると予測されていた(図2)。

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図2 これまでの市場予測でのAEMの市場シェアはわずか
(出所:展示会場での米Rystad Energyの講演を日経クロステックが撮影)
最も後発のAEMが展示会場を席巻

 ところが、今回のHannover Messeで水素関連の展示が集中するホール13では、AEM形水電解装置やその部材が非常に数多く出展された。数の上ではAWEやSOEC関連の出展をはるかにしのぎ、PEMと同程度の存在感を示した注1)。このため、今後の市場予測は大きく変わっていく可能性がある。

注1)もちろん、展示会が「これまで世に出ていないモノを売り出す」ためにあることから、市場形成が遅れているAEM形水電解装置の展示が目立っていることは不思議ではなく、今後必ず、大きな市場になるとも限らない。一方、現時点で市場規模が最も大きいAWE関連は、出展数が非常に少なく、しかもその多くが小型の模型やパネル展示にとどまった。実物が数m級と非常に大きいことも、出展数が少ない理由の1つといえそうだ。
「小型のほうが量産効果が高い」

 AEM形水電解装置の展示で目立ったメーカーの1社は、やはりこの技術のパイオニアであるエナプターだ(図3)。

 エナプターのセルスタックは、水素の生産能力が0.5Nm3/時と非常に小さい。これは意図的なもので、同社は「太陽電池や電気自動車(EV)の電池は小さいが故に量産でコストダウンに成功した」と考えているからだ。セルスタックの小型化は、耐久性が低いことへの対策にもなっている。そのほうが、セルスタックが故障したり性能が劣化したりした際、そのセルスタックの稼働停止や交換がしやすく、システム全体に対する悪影響も小さいからである。装置の規模の拡大はこのセルスタックを多数使うことで可能だとする。

(a)エナプターのセルスタック
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(b)エナプターの講演内容
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図3 セルスタックは小さいほうがよい?
手で持てるエナプターのAEMセルスタック(a)。同社によれば、EV向け電池も太陽電池も小型であることで量産が可能となり、コストダウンに成功したとする(b)(出所:日経クロステック)
 同社のセルスタックの生産能力は年産10万個(約240MW/年)。現時点では消費電力で1.2MW規模、水素の生産能力で210Nm3/時の水電解システムを出荷済みだとする。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02818/052400012/

Posted by Morning lark
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川崎港周辺で回収した海洋プラスチックごみの再資源化を進めようと、川崎市と素材大手「レゾナック・ホールディングス」(東京都港区)は今年度、集めたプラスチックごみをガス化し、水素や二酸化炭素、アンモニアにリサイクルする実証実験を行っている。市が臨海部の事業所などと連携し、循環型社会の実現を目指す取り組みの一環。市と同社は5月30日、実証実験の様子を報道陣に公開した。(松岡妙佳)


 川崎港では市から委託を受けた公益社団法人「川崎清港会」の海面清掃船が平日は毎日、港近くの約3300ヘクタールの水面を巡回し、ペットボトルやポリ袋、バケツなどのごみを引き揚げ、分別している。回収の担当者は「不法投棄とみられるものも少なくない」と嘆く。

 実証実験でリサイクルされるのは同法人が回収した海洋プラスチックごみで、臨海部にあるレゾナック川崎事業所に運ぶ。そこで、高温のガス化炉の中で分子レベルにまで分解する「ケミカルリサイクル」を行う。全国的にもまだ珍しいリサイクル方法で、「異なる種類のプラスチックが混ざっていてもリサイクルできるのが強みです」と、同社の伊東浩史・プラスチックケミカルリサイクル推進室長は胸を張る。

 この日は、事前に用意していた海洋プラスチックごみ20キロを破砕成形機にかけ、ガス化炉に投入した。同事業所では首都圏の家庭などから出るプラスチックごみ1日195トンをリサイクルし、30トンの水素、490トンの二酸化炭素を取り出し、水素と空気中の窒素を合成して175トンのアンモニアを作っているという。

 アンモニアはナイロンやアクリルといった繊維や医薬品の原料、二酸化炭素は、炭酸飲料の炭酸やドライアイスなどに使用される。水素の一部は、地下のパイプラインを通じて約5キロ離れた「川崎キングスカイフロント 東急REIホテル」に供給され、燃料電池による発電で、ホテル内の電気の一部を賄う。

 今年度の実証実験では年度内に計4回、計80キロの海洋プラスチックごみ再資源化を行う予定で、技術的な検証や、事業拡大への課題などを探る。市環境局の山田俊彦・廃棄物政策担当課長は「レゾナックとともに海洋プラスチックをどこまで再資源化できるか確かめたい」と意気込んでいる。https://news.yahoo.co.jp/articles/44a95e0b3c7a5e36645b89e19e733c369e1a721d



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