住友ゴム白河工場で水素製造装置が稼働 「つくる」「つかう」二刀流の効果とは?
住友ゴム工業は、白河工場(福島県白河市)で2025年4月に稼働を開始した水素製造装置「やまなしモデルP2Gシステム(500kWワンパッケージモデル)」の見学会を行った。
住友ゴム工業(以下、住友ゴム)は2025年4月15日、白河工場(福島県白河市)で「タイヤ工場における水素製造装置のお披露目会」を開催した。当日は同工場で同月に稼働を開始した水素製造装置「やまなしモデルP2Gシステム(500kWワンパッケージモデル)」を紹介した後、同システムの見学会を行った。
年間約1000トンのCO2排出量削減
やまなしモデルP2Gシステムは、山梨県が中心となって開発を進めてきたエネルギーシステムで、1時間当たり120m3の水素を製造できる。同システムは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用して水を電気分解することで、環境負荷が少ないグリーン水素を製造する。

住友ゴムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から助成を受け同システムの開発を統括してきた山梨県との合意の下、同システムを白河工場に導入して活用を進める。白河工場では、やまなしモデルP2Gシステムを24時間稼働させることで年間最大約100トン(t)の水素製造が可能となり、輸送を含むサプライチェーン全体(Scope1、2、3)で年間約1000tのCO2排出量削減につながる見込みだ。
Scope1は燃料の使用や工業プロセスでの直接排出の温室効果ガス(GHG)排出量で、Scope2は他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴うGHGの間接排出量、Scope3はScope1、2を除く事業者の活動に関連する他社のGHG排出量を指す。
やまなしモデルP2Gシステムで製造されたグリーン水素は、従来の配達水素、系統電力、場内太陽光発電、既存燃料とともに白河工場における5つのエネルギー源の1つとして活用される。
今後、白河工場では、系統電力から供給された再エネ由来の電力や場内の太陽光発電設備が生産した余剰電力を用いて、やまなしモデルP2Gシステムでグリーン水素を製造する。この水素と協力会社から配達された水素を、場内の水素ボイラーで燃焼させる。これにより生じた熱エネルギーを高精度メタルコア製造システム「NEO-T01」などのタイヤ加硫工程で使用する。既存燃料である天然ガスで生産した熱エネルギーも加硫工程では利用するが、段階的にグリーン水素由来の熱エネルギーのみの使用にシフトしていく。


これまでは主に協力会社から配達された水素やグリーン水素を水素ボイラーで燃焼していたため白河工場に1日1台の頻度で水素トレーラーがこれらの水素を運んできていた。やまなしモデルP2Gシステムの稼働により同工場内で水素を製造できるようになったことで水素トレーラーによる水素の運搬は5日に1回の頻度となる見込みだ。


住友ゴム 代表取締役社長の山本悟氏は「2025~2035年を対象とした長期経営戦略『R.I.S.E. 2035』を策定した。この戦略に基づき、ゴムから生み出す新たな体験価値を全ての人に提供し続けることを目指している。そしてこれからも水素を『つくる』『つかう』の二刀流で、持続可能な社会の実現に貢献する」とあいさつした。
住友ゴムでは白河工場を「脱炭素グランドマスター工場」と位置付けている。同社は、やまなしモデルP2Gシステムを用いてグリーン水素を活用したタイヤ製造のノウハウを蓄積しながら、将来は国内外の他工場への展開も視野に入れている。2025年3月には中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議と、「水素およびアンモニア等のサプライチェーン構築に向けた相互協力に関する基本合意書」を締結した。この合意書に基づき、中部圏での水素活用を検討する。

住友ゴムにおける水素活用の経緯
住友ゴムは、2021年にサステナビリティ長期方針「はずみ未来チャレンジ2050」を策定し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みをグループ全体で進めている。はずみ未来チャレンジ2050とR.I.S.E. 2035で設定している7つの重要課題(マテリアリティー)のうち「気候変動」では、「CO2排出量の削減を推進する企業」をありたい姿に掲げ、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す。この目標に向けた取り組みの一環として、水素の活用に挑戦することを決定した。

同社はNEDOおよび福島県から支援を受け、2021年8月~2024年3月に白河工場で水素を活用したタイヤ製造の実証実験を行った。実証実験では、福島県内の水素製造拠点から供給される水素を活用し、水素ボイラーで発生させた高温/高圧の蒸気を、タイヤ製造の最終段階である加硫工程で活用。加硫工程は、加熱と加圧によりゴムに弾性を与え、タイヤとしての形状と性能を完成させる重要なプロセスだ。
2023年1月には、水素エネルギーと太陽光発電を組み合わせることで、製造時(Scope1、2)におけるカーボンニュートラルを達成したタイヤの量産を開始している。
これらの成果を含む実証実験の結果を踏まえ、同社は2024年5月に、山梨県と「グリーン水素の活用による脱炭素化に係る基本合意書」を締結し、白河工場へのやまなしモデルP2Gシステムの導入を決定した。


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