PEM形水電解では東レや東芝系にチャンス、PFAS規制が追い風に
元写真フィルムメーカー大手であるベルギーAgfa-Gevaert(アグファゲバルト)がアルカリ水電解(AWE)の隔膜を刷新し、その市場を席巻した一方、プロトン交換膜(PEM)タイプの水電解技術でも隔膜の大きな技術革新が起こりつつある。開発したのは、東レだ。
これまでPEM、及びその逆の反応を用いる燃料電池技術の固体高分子形燃料電池(PEFC)では、「Nafion†」という有機フッ素化合物(PFAS)†の一種が市場をほぼ独占している。
これに対し、東レが2021年に発表した「炭化水素系(HC)電解質膜」は、同社が20年かけて開発してきた成果だという。プロトンの伝導率がNafionの2倍と高いだけでなく、AWEでも重要だったガス透過性や強度、耐熱性など多くの点でNafionの特性値を大きく上回る(図1)。
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その低ガス透過性については、Agfa-GevaertのAWE向け隔膜「Zirfon PERL」シリーズ同様、再生可能エネルギーの出力変動への応答性を高められ、また稼働最低ラインは引き下げられるとする(図2)注1)。これらの結果として、少なくとも欧州では、グリーン水素のコスト低減に大きな役割を果たせるという(図3)。
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出荷先も確保か
この材料の可能性については東レ自身の鼻息が荒い。同社代表取締役副社長で執行役員、技術センター所長の萩原識氏は、このHC電解質膜に水素タンクなども含めた水素関連事業の事業規模について「2022年は200億円だったが、25年には目標額として600億円、30年には期待額として3000億円を想定している」と述べた。
当面の出荷先は既に確保したようだ。現時点で、日立造船やドイツSiemens Energy(シーメンスエナジー)などが山梨県で進める水電解装置の実証実験にこのHC電解質膜を使う方針である。さらに、東レの欧州子会社で水電解装置事業を手掛けるドイツGreenerity(グリナリティー)は、2023年10月時点で1GW超の装置が稼働し、2025年には3GW、2030年には10GW以上まで設備を増強する計画であるという。
PFAS規制が強力な追い風に
もっとも、PEM形水電解装置を手掛けるあるメーカーのある技術者は「現時点では耐久性などについての実績がなく、すぐに製品に採用することは考えていない」と冷静だ。ただし、「欧州で近く始まるPFAS規制で、実際にNafionが規制対象になれば、数少ない代替材料として有力な選択肢になる」(同)とする。
東レがHC電解膜を発表した2021年時点ではここまでPFAS規制が具体化するとは想定していなかったはずだ。実績を重視する水電解業界では、Nafionが規制の対象になるかどうかで、HC電解質膜の近未来が左右される可能性がある。
PEM形水電解では東レや東芝系にチャンス、PFAS規制が追い風に | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
PEM形水電解では東レや東芝系にチャンス、PFAS規制が追い風に
オランダAgfa-Gevaert(アグファゲバルト)が隔膜を刷新したアルカリ水電解(AWE)に対して、プロトン交換膜(PEM)形でも隔膜の大きな技術革新が起こりつつある。それを主導するのは、東
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