抄紙技術活用のカーボンペーパー電極、ガスや水の拡散圧力を制御可能
アイシンは、「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」で、燃料電池車(FCV)で使用する燃料電池の電極として使える「カーボンペーパー電極」を紹介した。
アイシンは、「Japan Mobility Show 2025」(プレスデー:2025年10月29~30日、一般公開日:同年10月31日~11月9日、東京ビッグサイト)内の「Startup Future Factory」に出展し、抄紙技術を活用した製品として開発を進める「カーボンペーパー電極」を紹介した。
2031年ごろの生産開始を目指し検討中
同社の抄紙技術は、さまざまな繊維や粒子の組み合わせにより、高機能な抄紙体の設計/製造が行える他、添加した材料の立体方向の分布をコントロールできる。同技術による抄紙の手順は以下の通りだ。まず、撹拌(かくはん)羽が搭載された専用の容器に、さまざまな粒子や繊維を投入し、撹拌羽でこれらを混合させる。続いて、抄紙網が底部に設置された容器に、この混合液を投入し脱水する。次に、乾燥工程を行うとともに、添加した材料の立体方向における分布を制御し、完成紙とする。

開発中の製品であるカーボンペーパー電極は、炭素繊維や繊維材料、機能粒子などを混ぜた混合液を抄紙したモノで、炭化処理を施すことで高い電気伝導性を発揮するため、燃料電池車(FCV)で使用する燃料電池の電極として使える。
アイシンの説明員は「カーボンペーパー電極は、燃料電池のセルスタックで使用するガス拡散層(GDL)としても機能する。GDLは、ガスを触媒層に均一に供給し、電子を外部回路に集める役割を果たす。加えて、発電時の化学反応で生じた水を効率的に排出する。同製品は、機能粒子の配置制御により、ガスや水の拡散圧力のコントロールも行える。2031年ごろの生産開始を目指し検討中だ」と話す。
なお、カーボンペーパー電極の製造/評価はアイシンが試作機などを用いて一貫して行い、量産は抄紙メーカーなどと連携して行う考えだ。

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